渇いた喉に、最初の一杯のビールは格別ですよね。普段何気なく飲んでいるビールも、実は種類や作り方によって味わいや香りが大きく変わります。
「ビール=麦のお酒」と思っている方も多いかもしれませんが、酵母や発酵方法によって、ラガー系・エール系などに分類されます。また、クラフトビールや黒ビールなど、それぞれ特徴のあるビールを楽しめます。
この記事では、初心者の方でもわかるように、ビールの基本知識をまとめました。
ビールの分類:ラガー系とエール系
ビールは大きく ラガー系 と エール系 に分けられます。発酵方法や酵母の種類によって、味や香りが変わります。
ラガー系:ラガー酵母を使い10℃前後で約1週間で発酵させる。下面発酵と呼ばれます。
大量生産されるビールに多く用いられています。
エール系:エール酵母を使い20℃前後で3~5日間で発酵させる。上面発酵と呼ばれます。
伝統的な造り方で、味わい深いビールになります。
さらに、ビールの発酵方法には以下の3種類があります。
発酵方法の違い
| 発酵方法 | 温度 | 発酵期間 | 酵母の位置 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 下面発酵(ラガー系) | 10℃前後 | 約1週間 | 底 | 大量生産向き |
| 上面発酵(エール系) | 20℃前後 | 3〜5日 | 上 | 味わい深い |
| 自然発酵 | 天然酵母 | 長時間 | 浮遊 | 個性的 |
下面発酵
特徴:低温で長期間発酵させる方法で、酵母が麦汁の下面に沈むため、下面発酵と呼ばれます。
メリット:雑菌の繁殖が少なく、一定の品質を保ちやすいため、大量生産向きです。
上面発酵
特徴:やや高温で短期間発酵させ、酵母が麦汁の上面に浮き上がります。
メリット:歴史ある伝統的な方法で、味わいが深くなりますが、大量生産には向きません。
自然発酵
特徴:天然の酵母で長時間発酵させるビールです。培養されていない野生酵母を使用します。
代表例:ベルギーの代表的なものにランビック、アメリカにはサワーエールというスタイルのものがあります。
日本の例:岩手県の「世嬉の一酒造」のいわて蔵ビールや 新潟県のメーカが造る新潟麦酒、スパークリングマンゴーなどが有るようです。

ビールの原料
ビールは基本的に4つの原料から作られます。
モルト(麦芽)、ホップ、酵母、水
- モルト(麦芽):大麦を発芽させたものです。
- ホップ:ビールに苦味や香りを付けるハーブの一種です。
- 酵母:糖をアルコールと炭酸に分解する菌です。これが発酵です。
- 水:ビールの約90%以上を占め、味に大きく影響します。
醸造とは、酵母などの発酵作用を利用してアルコール飲料や食品を作ることです。
副原料
日本の酒税法の定める副原料には
麦、米、ばれいしょ、とうもろこし、デンプン、着色料、糖類、こうりゃん(雑穀の一種)
が有ります。
一方、チョコレート・フルーツ・お茶・ハーブ・スパイスなどを使う場合は、日本では 発泡酒 として分類されます。これらの原料は味や香りに個性を与えるため、クラフトビールではよく使われています。
クラフトビールとは
よく耳にする言葉のクラフトビール。じつは簡単には説明が出来ません。日本には明確な定義が無いのです。
アメリカでは「ブルワーズ・アソシエーション」が以下の条件を定めています。
・小規模であること
・独立していること
・伝統的な原料や製法で造っていること
日本ではこの流れを参考にして、大手ビールメーカー以外の、地域密着型の小規模醸造所で造られるビール とされています。ご当地ビールとして、日本各地で楽しまれています。
ビールの「スタイル」とは?
ビールの種類をさらに細かく分類したものを スタイル と呼びます。発酵方法や原料によって味や香りが異なり、世界には100種類以上のスタイルがあります。
下面発酵のラガー、上面発酵のエールを更に細かく分類したビールの種類のことです。
ビールには3種類の発酵がありましたよね。
用いる原料や醸造法によりスタイルは分類され、当然スタイルが変わるとその味わいも異なります。
代表的なものを一部紹介します。
ピルスナー(Pilsner)
爽快な味わいとノド越し
世界で飲まれるビールの実に7割を占めるといわれています。世界初の金色のラガービールと言われており、日本人が最も親しんでいるスタイルです。
ペールエール(PaleAle)
香ばしさとほのかな甘み
イギリス発祥の金色~銅色のビール。ホップやモルトの豊かな香りが特徴。イギリスの伝統的なスタイルですが、アメリカに渡ってホップの華やかな香りがするアメリカンペールエールが誕生し、世界的に人気になりました。
ヴァイツエン(Weizen)
フルーティーな甘味
小麦麦芽を50%以上使ったドイツの伝統的なビールです。
ゴールデンエール(Golden Ale)
爽やかでスッキリ
きれいな黄金色をしたビール。柑橘系の爽やかな香りとスッキリとした味わいが特徴。
その他のスタイル
ペルジャンホワイト、ドルトムンダー、ボック、エール、アルト、トラピスト、ポーター、スタウト、IPA、アンバーエール、フルーツビール、リアルエール、バーレイワイン、サワーエール、セゾンビール、シェパルツ、ラオホ、ケルシュ などなどまだまだ有ります。
| 種類 | 発酵方法 | 色 | 味わい | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラガー | 下面発酵 | 薄め | サッパリ | 大量生産向き、安定感 | ピルスナー |
| エール | 上面発酵 | 薄~濃 | フルーティー・香ばしい | 伝統的製法、味わい深い | ペールエール、ゴールデンエール |
| ヴァイツエン | 上面発酵 | 薄め | フルーティー甘味 | 小麦麦芽50%以上使用 | ヴァイツエン |
| 黒ビール | 上面発酵 | 濃い茶~黒 | コク深い、香ばしい | 焙煎麦芽使用 | スタウト、ポーター |
| 自然発酵 | 野生酵母 | 変動 | 酸味・個性 | 天然酵母、少量生産 | ランビック、サワーエール |
ビールの選び方
色で選ぶビール
ビールには色の薄いものと濃いものがあります。
薄い色
爽やかでフルーティーなタイプ
色が薄いビールは見た目から感じるように、基本的にはサッパリとした飲み口、香りが特徴となります。
クセが無いサッパリとした味わいですので、いろんな料理にも合わせやすくその組み合わせを心配する必要がありません。
濃い色
麦のコクを味わえるタイプ
麦芽の香ばしい香り、深みのある濃厚な味わいを楽しめます。
香りや味わいが強いので、料理はよく選んだ方が良いでしょう。
生ビールとは
私達が普段何気なく楽しんでいる缶ビールや瓶ビールは、ほとんどが生ビールになります。
生ビールとは、発酵・熟成後にろ過はしても 熱処理を行わないビール のことです。熱処理は50~60℃で行い、酵母や雑菌の活動を止める目的があります。
最近の技術では、大手メーカーのビールはろ過により酵母を除去し、熱処理せず生ビールとして販売することが一般的です。スーパーやコンビニで手軽に楽しめます。
黒ビールとは
黒ビールとは、色の濃い麦芽を使ったビール のことです。
麦芽を焙煎することで茶色や黒色になり、その色がビールにも反映されます。
主なスタイルには、ポーター、スタウト、シュバルツ、デュンケルがあります。
飲み方:少しぬるめにすると香りが立ち、味わいもまろやかになります。ハイアルコールなものが多いので、少量ずつ楽しむのがおすすめです。楽しむと良いかも。
相性:肉料理、ホタテ料理、焼き菓子やチョコレートとよく合います。
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まとめ
最初の乾杯にはやはりビールが定番ですよね。
ビールは、発酵方法・原料・スタイルによって味や香りが大きく変わります。家飲みではお気に入りのビールを楽しみつつ、クラフトビール専門店で新しい味を試すのもおすすめです。店員さんに質問して、自分好みのビールを見つける楽しみも広がります。


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