親には、できるだけ長く元気でいてほしい。
そう思う一方で、親が高齢になるにつれて「この先、介護が必要になったらどうするのか」「お墓や実家はどうするのか」「相続はどうなるのか」と、将来のことが少しずつ現実の問題として気になるようになります。
私の母は88歳です。最近は足腰が弱くなってきましたが、現在も一人で生活しています。
今すぐ何かをしなければならない状況ではありません。それでも、母がこれからもずっと今と同じ生活を続けられるとは限りません。
考え始めると、介護だけではありません。葬儀、お墓、実家の片付け、空き家、売却、相続まで、さまざまな問題がつながっています。
そして私自身が一番不安に感じているのは、結局のところ「どれくらいのお金が必要になるのか分からない」ことです。
今の時点で出している答え
- 今すぐすべてを決める必要はない
- 親が元気なうちだから確認できることはある
- まず必要になる費用や選択肢を知る
- 安さだけでなく、親や家族が納得できる方法を考える
- できるだけ次の世代へ大きな負担を残さない
親が元気でも将来のことを考えるようになった理由
以前から、長男ということもあって親の将来については気になっていました。
ただ、仕事をしている間は毎日の生活があり、親も元気だったため、介護や実家、お墓について具体的に何かを決めるところまでは進んでいませんでした。
状況が少し変わってきたのは、自分自身が定年を迎え、母も88歳になったことです。
さらに、妻の母のことも頭にあります。
妻の母はとても元気に生活していましたが、年末に体調を崩して病院を受診し、がんと診断されました。そして翌年3月には亡くなりました。
親が元気だからといって、「まだ何年も先の話」とは限らないことを身近で経験しました。
もちろん、不安ばかりを膨らませても仕方ありません。ただ、何かが起きてから慌てて決めるよりも、親が元気なうちに確認できることだけでも確認しておいた方がよいのではないかと考えるようになりました。
介護・葬儀・お墓・実家・相続はすべてつながっている
親が高齢になったときに考えなければならないことは、一つではありません。
| 考えること | 気になること |
|---|---|
| 介護 | 在宅介護、介護サービス、施設、毎月の費用 |
| 葬儀 | 葬儀の方法、規模、費用、本人の希望 |
| お墓 | 現在のお墓の維持、改葬、永代供養、墓じまい |
| 実家の片付け | 家財、不用品、思い出の品をどうするか |
| 空き家 | 維持管理、固定資産税、老朽化、防犯 |
| 実家の処分 | 売却、解体、賃貸などの選択肢 |
| 相続 | 預貯金、不動産、名義変更、相続税や手続き |
一つひとつを別の問題として考えていると分かりにくいのですが、実際にはすべてつながっています。
そして多くの場合、その先にはお金の問題があります。
一番不安なのは「いくらかかるのか分からない」こと
私自身、何から手をつければよいのか分からず、これまで具体的に動けていませんでした。
その理由を考えてみると、手続きが分からないこと以上に、最終的にいくら必要になるのか見当がつかないことへの不安が大きいと気付きました。
介護にもお金がかかります。葬儀にもお金がかかります。墓じまいや改葬をすれば費用が発生し、実家を片付けるにも、解体するにも費用がかかります。
反対に、何もしなければお金がかからないとも限りません。お墓を維持すれば継続的な費用があり、空き家を所有し続ければ税金や管理、修繕などの負担が続く可能性があります。
「処分するにはお金がかかる。でも、そのまま残してもお金がかかる」。
このどちらを選べばよいのか簡単には答えが出ないことが、問題を先送りしてしまう理由の一つではないでしょうか。
介護は必要になってから初めて考えるのでは遅いかもしれない
現在、母は一人で生活できています。しかし、最近は足腰が弱くなってきました。
今後、買い物や掃除など日常生活の支援が必要になるのか、在宅で介護を受けるのか、施設を考える時期が来るのかは分かりません。
介護保険サービスを利用した場合、利用者負担は原則としてサービス費用の1割で、一定以上の所得がある場合は2割または3割です。ただし、施設を利用する場合には食費や居住費、日常生活費など介護保険とは別の負担もあります。
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
だからこそ、「介護になったらいくら必要なのか」を今の段階から正確に決めることはできなくても、どのような制度があり、どのような費用が発生するのかだけでも知っておきたいと思っています。
葬儀についても本人が元気なうちなら希望を聞ける
葬儀について家族で話すことには抵抗を感じる人も多いと思います。
親が元気なのに、亡くなった後の話をすることにためらいがあるのは当然です。
ただ、妻の母の経験を振り返ると、状況が変わってからでは本人の希望をゆっくり確認できない場合もあります。
盛大な葬儀を望むのか、家族だけで静かに送りたいのか。菩提寺との付き合いはどうなっているのか。
今すぐ葬儀社を決める必要はなくても、本人の希望を家族が知っているだけで、いざというときの判断は大きく変わるはずです。
お墓は費用だけでは決められない
私が特に考えているのがお墓の問題です。
現在、実家のお墓にかかる費用は母が負担しています。お彼岸などの機会にも費用を納めています。
母が払えなくなれば、長男である自分が引き継ぐことになるだろうと考えています。
その先を考えると、私には娘が一人います。自分の代では維持できたとしても、同じ負担を娘へそのまま残すことには迷いがあります。
一方、お墓には自分の親だけではなく、ご先祖様も葬られています。
そのため、単純に「費用がかかるから墓じまいをすればいい」と割り切ることもできません。
今のお墓を維持する方法もあれば、管理負担の少ない墓地へ移す方法、永代供養墓や納骨堂などへ改葬する方法もあります。
なお、現在のお墓から遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す「改葬」には、市区町村長の許可が必要です。
どの方法が正しいという答えは、まだ自分の中にもありません。
大切なのは、できるだけ費用負担を抑えながら、ご先祖様を粗末にせず、自分たち家族が納得でき、次の世代にも過度な負担を残さない方法を探すことだと考えています。
実家は住む人がいなくなってから考えるのでは遅い
もう一つ大きな問題が実家です。
母が一人で暮らしている現在は「実家」ですが、将来誰も住まなくなれば「空き家」になります。
そのときになって初めて、家の中の荷物をどうするのか、家を残すのか、売るのか、解体するのかを考えることになります。
総務省の2023年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%と過去最高になっています。
空き家の問題は特別な家庭だけの話ではありません。
ただし、実家を売却すればよいとも簡単には言えません。家には親の生活があり、家族の思い出があります。立地や建物の状態によっては、売却できる金額も大きく変わります。
解体して土地として売った方がよいのか、建物を残した方がよいのかについても、実際に査定や見積もりを取らなければ判断できない場合があります。
まずは「売る」と決めることより、現在の実家の価値や名義、維持にかかっている費用を知るところから始める必要がありそうです。
相続は「相続税がかかるか」だけではない
相続というと、「相続税はいくらかかるのか」が最初に気になります。
相続税には基礎控除があり、現在は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。正味の遺産額が基礎控除額を超えない場合には、原則として相続税はかかりません。
参考:国税庁「相続税の計算」
ただし、相続税がかからなければ何もしなくてよいわけではありません。
不動産を相続した場合には、相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられています。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
親が元気なうちに、不動産の名義が誰になっているのか、どこに権利証や登記関係の書類があるのかだけでも確認しておけば、その後の負担を減らせる可能性があります。
今決めることと、今は決めなくてよいことを分ける
ここまで考えてくると、介護、葬儀、お墓、実家、相続と、あまりにも多くの問題があるように感じます。
私自身も、最初からすべて決めようとすると何から始めればよいのか分からなくなります。
そこで、「今確認できること」と「そのときになってから決めてもよいこと」を分けて考えることにしました。
| 今のうちに確認したいこと | 今すぐ決めなくてもよいこと |
|---|---|
| 実家の土地・建物の名義 | 実家を売却するかどうか |
| 重要書類がどこにあるか | どの不動産会社へ依頼するか |
| お墓の管理方法と現在の費用 | 墓じまいするかどうか |
| 親が希望する葬儀の形 | 具体的な葬儀社 |
| 親が実家をどうしたいか | 解体するかどうか |
| 介護が必要になった場合の相談先 | 施設へ入居するかどうか |
このように分けると、少し気持ちが楽になります。
今必要なのは大きな決断ではなく、分からないことを一つずつ減らしていくことなのだと思います。
お金をかけないことと、安さだけで決めることは違う
これから自分自身も年金を中心とした生活になっていきます。
その中で親の介護や実家、お墓などに大きな費用が必要になれば、家計への負担は小さくありません。
できるだけお金をかけずに済ませたいというのが正直な気持ちです。
ただし、単純に「一番安い方法を選べばよい」とも考えていません。
例えばお墓であれば、ご先祖様が葬られている場所です。家であれば、親が長く暮らしてきた場所です。
金額だけを見て処分を急ぎ、後から家族が後悔するようでは意味がありません。
目指したいのは、必要以上のお金をかけず、家族が納得でき、将来の負担もできるだけ小さくする方法です。
そのためにも、一社だけの話を聞いて決めるのではなく、必要に応じて複数の選択肢や費用を比べることが大切だと考えています。
自分の子どもへ同じ負担をそのまま残したくない
親の問題を考えていると、最後には自分自身のことにも行き着きます。
私は長男として親のお墓や実家について考える立場にいます。
だからこそ、自分がいなくなった後に同じような悩みを娘へそのまま引き継がせるのは避けたいと思っています。
お墓をどうするのか。自宅をどうするのか。自分の持ち物をどうするのか。
親のことを考えることは、そのまま自分自身のこれからを考えることでもあります。
まずは親が元気な今だからできることから始める
介護、葬儀、お墓、実家、相続。
一度に全部考えようとすると、あまりにも問題が大きく感じます。
私自身も、まだ墓じまいをすると決めたわけではありません。実家を売却すると決めているわけでもありません。
今の段階では答えが出ていないことの方が多いのが実情です。
それでも、何も分からないまま先送りするのではなく、まず次のことから確認していこうと考えています。
- 親が希望していることを少しずつ聞く
- 実家やお墓の現在の名義・契約・費用を確認する
- 介護、墓じまい、改葬、実家の片付けなどにどのくらい費用がかかるのか調べる
- 維持する場合と処分する場合の両方の負担を比較する
- 次の世代へ何を残し、何を自分の代で整理するのか考える
親には、できるだけ長く元気でいてほしい。
だからこそ、まだ元気で話ができる今を「何もしなくてよい時間」ではなく、将来慌てないための準備ができる時間と考えたいと思います。
この問題に、誰にでも当てはまる一つの正解はないでしょう。
家族構成も資産も、お墓や実家の状況も違います。
だから、このサイトでは今後、墓じまい、改葬、実家の片付け、空き家、解体、売却、介護や相続などについて、一つずつ費用や選択肢を確認していきます。
分からないから動けない状態から、選択肢を知ったうえで自分たち家族が納得して判断できる状態へ。
まずは、そこから始めたいと思います。


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