先祖代々のお墓を、この先どうするのか。
以前の私にとって、墓じまいはまだ先の話でした。しかし母が高齢になり、自分自身も定年を迎えたことで、少しずつ現実の問題として考えるようになっています。
とはいっても、今すぐ墓じまいをしようと決めているわけではありません。
現在のお墓には先祖代々の遺骨が納められています。母もいずれそのお墓へ入ることになるだろうと考えています。
その一方で、私たち夫婦が高齢になった後までお墓を維持し、さらにその先を娘へ任せることが本当にいいのかという疑問も出てきました。
先祖を大切にすることと、先祖代々のお墓を同じ形のまま維持し続けることは、本当に同じなのだろうか。
まだ自分の中でも答えは出ていません。
親が元気なうちは、お墓のことを深く考える機会は少ないかもしれません。しかし、親が高齢になり、自分自身も年齢を重ねると、「このお墓は最後に誰が守るのだろう」という問題が少しずつ現実になってきます。
だからこそ今回は、墓じまいを決めた人としてではなく、先祖代々のお墓を自分たちの代でどうするのかを考え始めた一人として、現在考えていることと、今から確認しておきたいことを整理します。
今の時点で考えていること
- 今すぐ墓じまいをするつもりはない
- 母はいずれ現在のお墓へ送りたい
- 先祖代々のお墓なので簡単に終わらせる気持ちにもなれない
- 一方で、娘へ墓守を当然の役割として残したくない
- 自分たち夫婦が元気なうちに今後の形を決めたい
- 実行はまだ先でも、検討は今から始めた方がよいと感じている
先祖代々のお墓が自分の問題として現実になってきた
現在、お墓にかかる費用は母が負担しています。お彼岸などの機会にも費用を納めています。
母が元気なうちは、今までと同じようにお墓を維持していくことになるでしょう。
しかし母が高齢になったことで、「その後」を考えることが増えてきました。
母が払えなくなれば、おそらく私が引き継ぐことになります。そして母が亡くなったときには、現在の先祖代々のお墓へ送りたいというのが今の気持ちです。
そこまでは比較的自然に考えられます。
難しいのは、その先です。
私が引き継いだお墓を、いつまで維持するのか。私たち夫婦もそこへ入るのか。そして私たちがいなくなった後は誰が管理するのか。
そこまで考えたとき、墓じまいが初めて自分自身の問題として見えてきました。
母は今のお墓へ送りたいと思っている
墓じまいを考えるといっても、今すぐ先祖代々のお墓をなくしたいわけではありません。
現在のお墓には、ご先祖様が葬られています。
長い間、家族が受け継いできたお墓ですから、「維持費がかかるから」「管理が大変だから」という理由だけで簡単に終わらせることには抵抗があります。
そして母についても、今のところは先祖代々のお墓へ入ってもらいたいと思っています。
そのため、私の場合は「親が高齢になったから墓じまいをする」という話ではありません。
母を現在のお墓へ送り、その後にお墓を引き継ぐ自分たち夫婦が、さらにその先をどうするか。
そこが考えたい問題です。
娘に先祖代々のお墓を守る役割まで残すのか
私たち夫婦には娘が一人います。
妻は結婚して私の家族になりましたが、当然ながら、私と同じように先祖代々のお墓に思い入れがあるわけではありません。
娘にも娘のこれからの人生があります。
結婚するかもしれませんし、将来どこで生活するのかも分かりません。
どのような人生を選ぶとしても、私の家の先祖代々のお墓を守り続けることまで当然の役割として残してよいのだろうか。
私自身が長男としてお墓を引き継ぐことを自然なこととして考えてきたからこそ、今度は逆の立場から考えるようになりました。
自分が引き継いだものを、そのまま次の世代へ渡すことだけが責任の果たし方ではないのではないか。
必要であれば、自分たちの代で整理してから渡すという考え方もあると思うようになっています。
知人が選んだ供養の形を聞いて考え方が少し変わった
そんなことを考え始めた時期に、身近な知人が亡くなりました。
その家族も、お墓をどうするか考えたそうです。
そして最終的に選んだのが、築地本願寺の合同墓でした。
話を聞いたときに印象に残ったのが、従来のお墓のように家族が代々管理していく形とは違う供養方法があるということでした。
築地本願寺の合同墓について確認すると、年間管理費は不要とされています。また、個別保管した後に合葬する方法や、個別保管期間を設けず合葬する方法などが定められています。
なお、築地本願寺公式サイトでは現在、合同墓の募集は終了したと案内されています。ここで築地本願寺を紹介しているのは、特定の供養先として勧めるためではなく、私がお墓について改めて考えるきっかけになった身近な事例としてです。
この話を聞いて、私の中で一つの考えが生まれました。
先祖を供養することと、家族がお墓を代々維持し続けることは、必ずしも同じではないのではないか。
もちろん、先祖代々のお墓を守ることには大切な意味があります。
一方で、家族構成や暮らし方が変われば、供養の形も変わっていくのかもしれません。
墓じまいはいつするのがよいのだろう
では、実際に墓じまいをするとしたら、いつがよいのでしょうか。
最初は、自分が亡くなるころに考えればよいようにも思っていました。
しかし、よく考えれば、自分が亡くなってから自分で墓じまいをすることはできません。
私が先に亡くなれば妻が手続きをすることになるかもしれません。妻が先なら私が行うことになるでしょう。
さらに年齢を重ねれば、夫婦とも体力が落ち、寺院や墓地、行政、石材店などと相談しながら手続きを進めること自体が負担になる可能性があります。
そう考えると、「どちらかが亡くなったら考える」と決めるより、夫婦とも元気で、自分たちで判断して動けるうちに考える方が現実的ではないかと思うようになりました。
ただし、これは「早く墓じまいした方がよい」という意味ではありません。
実行する時期はまだ先でも、考え始める時期まで先送りする必要はないということです。
墓じまいは墓石を撤去するだけでは終わらない
調べてみると、墓じまいは墓石を撤去して墓地を返せば終わりというものではありません。
現在のお墓から遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂などへ移す場合は「改葬」にあたり、市区町村長の許可が必要です。
改葬許可の申請では、現在遺骨が納められている墓地や納骨堂の管理者が作成する証明書なども必要になります。
つまり、墓じまいを考えるときには、現在のお墓だけではなく、そこに納められている遺骨をその後どこへ移すのかまで考えなければなりません。
| 考えること | 確認したい内容 |
|---|---|
| 現在のお墓 | 名義、管理者、年間費用、寺院との関係 |
| 納骨されている遺骨 | 誰が納骨されているのか、何柱あるのか |
| 改葬先 | 永代供養墓、納骨堂、樹木葬などの選択肢 |
| 自分たち夫婦 | 将来自分たちはどのように供養してもらいたいか |
| 手続き | 改葬許可、墓地への連絡、墓石撤去など |
| 費用 | 墓石撤去、供養、改葬先などにいくら必要か |
こうして並べると、すぐに結論を出せる問題ではないことが分かります。
だからこそ、元気なうちから少しずつ確認しておく必要がありそうです。
今すぐ墓じまいしなくても今から確認できることはある
私の場合、今すぐ墓じまいする必要はありません。
母も元気に生活していますし、現在のお墓を維持しています。
しかし、「まだ必要ないから何もしない」と考えていると、数年、さらに数年と後送りになってしまうようにも思います。
今のうちなら母にも確認できます。
今から確認しておきたいこと
- 現在のお墓の名義や契約内容を確認する
- 年間どのくらいの費用がかかっているのか確認する
- 誰の遺骨が納められているのか確認する
- 母がお墓についてどう考えているのか聞いておく
- 永代供養墓や納骨堂など現在の供養方法を調べる
- 墓じまいと改葬にどのくらい費用が必要なのか調べる
- 自分たち夫婦が最終的にどのように供養されたいのか話し合う
ここまで確認したからといって、墓じまいをしなければならないわけではありません。
調べた結果、今のお墓をもうしばらく維持するという結論になることもあるでしょう。
大切なのは、何も知らないまま先送りすることと、選択肢を知ったうえで「今は維持する」と判断することは違うということだと思います。
先祖を大切にする方法は一つではないのかもしれない
先祖代々のお墓を自分たちの代で墓じまいすることを考えると、やはり迷いがあります。
自分が長く受け継がれてきたものを終わらせてよいのか、という気持ちもあります。
一方で、お墓という形を残すことによって、次の世代に管理や費用の負担を残すことが、本当に先祖を大切にすることなのかとも考えます。
知人の話から永代供養という選択肢を身近に感じるようになったことで、供養にはいろいろな形があることにも改めて気付きました。
お墓をなくすことと、先祖を忘れることは同じではありません。
「墓じまい」という言葉には、お墓をなくしてしまうような寂しさがあります。しかし実際に考えたいのは、お墓をなくすことではなく、これから先も無理なく続けられる供養の形へ変えていくことなのかもしれません。
お参りする場所や方法が変わっても、家族が故人や先祖を思う気持ちまでなくなるわけではないでしょう。
そう考えると、これからの家族の形に合わせて供養の方法を変えていくことも、一つの選択肢なのだと思います。
墓じまいはまだ決めていない。それでも今から考え始める
現時点で、私は墓じまいをすると決めているわけではありません。
いつ実行するのかも決めていません。
母には今のお墓へ入ってもらいたいという気持ちがありますし、先祖代々のお墓を簡単に終わらせたいとも思っていません。
それでも、自分たち夫婦が高齢になり、動くことが難しくなってから考えるのでは遅いかもしれないという気持ちは強くなっています。
そして何より、判断することまで娘へ残したくありません。
墓じまいの実行はまだ先でも、検討は元気な今から始める。
今の私に出せる答えは、そこまでです。
これから現在のお墓にどのくらい費用がかかっているのか、墓じまいには実際いくら必要なのか、永代供養や納骨堂にはどのような違いがあるのかなど、一つずつ調べていこうと思っています。
同じように、先祖代々のお墓をこの先どうすればよいのか漠然と気になり始めた人も、今すぐ答えを出す必要はないと思います。
ただ、「まだ先のこと」と何年も後送りするのではなく、家族が元気で話せるうちに、まず現在のお墓のことを知るところから始めてみる。
それが、自分たちの家族に合った供養の形を考える最初の一歩になるのではないでしょうか。
お墓だけでなく、介護や葬儀、実家、相続まで含めて、これから親と実家について考えていくことを「親と実家のこれから」にまとめています。



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