墓じまいには、いったいいくらかかるのでしょうか。
私が墓じまいの費用を調べようと思ったきっかけは、90歳を目前にした母の足腰が以前より弱ってきたことでした。
現在も母と私たち夫婦でお墓参りをしています。お寺へのお布施や塔婆代などは母が負担していますが、いずれ私が引き継ぐことになるでしょう。
今すぐ墓じまいをするつもりはありません。それでも、自分自身も60代半ばを過ぎ、その先には一人娘がいます。今のうちに「墓じまいをするとしたら、どのくらいのお金が必要なのか」だけでも知っておきたいと思うようになりました。
この記事で確認すること
- 墓石の撤去にはいくらかかるのか
- 閉眼供養などのお布施はどのくらい考えておくのか
- 改葬にはどんな手続きが必要なのか
- 永代供養・合葬墓・樹木葬などで費用はどのくらい変わるのか
- 費用を抑えるなら何を確認すればよいのか
- 自分のようなケースでは総額をどのくらい想定すればよいのか
墓じまいの費用はいくらかかる?まず全体像を確認
墓じまいというと、最初に思い浮かぶのは墓石の撤去費用ではないでしょうか。
しかし実際には、墓石を撤去して終わりではありません。お墓に納められている遺骨を取り出し、新しい供養先へ移す場合には「改葬」という手続きが必要になります。
墓じまいの費用は、大きく次のように分けて考えると分かりやすくなります。
| 費用 | 主な内容 |
|---|---|
| 墓石の撤去費 | 解体・運搬・処分・更地化など |
| 供養に関する費用 | 閉眼供養などのお布施 |
| 改葬に関する費用 | 行政手続き、遺骨の取り出し・移送など |
| 新しい供養先の費用 | 永代供養墓・合葬墓・納骨堂・樹木葬など |
2026年に公表された鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」では、実際に改葬・墓じまいをした人の費用は「31万円~70万円」が31.3%で最も多く、30万円以下を合わせると約48%が70万円以下でした。
一方で151万円以上かかった人も14.0%います。つまり、「墓じまいは○万円あればできる」と一律には考えられません。
お墓の広さや立地だけでなく、何人分の遺骨があるのか、その遺骨をどこへ移すのかによって総額は大きく変わります。
私が墓じまいの費用を考え始めた理由
わが家には、東京都内の寺院に代々のお墓があります。
現在は、90歳を目前にした母と私たち夫婦で墓参りをしています。母にも私にも大きな健康上の問題はなく、今すぐお墓をどうにかしなければならない状況ではありません。
ただ、最近は母の足腰の衰えを感じるようになりました。
これまで母が負担してきたお寺へのお布施や塔婆代なども、いずれ私が引き継ぐことになるでしょう。
もう一つ気になっているのが、お墓までの交通手段です。
お寺は駅から離れているため、墓参りには私の車で行っています。今は日頃から運転しているので問題ありませんが、これから年齢を重ねれば、いつか免許返納を考える時期も来るでしょう。
そのとき、今と同じようにお墓参りを続けられるのか。そして私たちの次には一人娘がいます。
お墓を守ってきたことを否定するつもりはありません。それでも、今と同じ負担をそのまま娘へ引き継ぐことが本当にいいのかは考えてしまいます。
だからこそ、まだ何も決める必要がない今のうちに、費用と選択肢だけでも知っておこうと考えました。
母のこと、お墓だけでなく実家や相続なども含めて、これから考えていかなければならないことは別の記事にまとめています。

墓石の撤去・処分にはいくらかかる?
墓じまいでまず発生するのが、現在の墓石を解体・撤去して墓所を返還するための費用です。
2026年時点で石材店などが公表している価格を確認すると、墓石の撤去は1㎡あたり10万~15万円程度が一つの目安になっています。
| 墓地の広さ | 撤去費の概算 |
|---|---|
| 1㎡ | 約10万~15万円 |
| 2㎡ | 約20万~30万円 |
| 3㎡ | 約30万~45万円 |
| 4㎡ | 約40万~60万円 |
ただし、これはあくまで目安です。
重機が墓所まで入れるか、通路が狭くないか、階段や段差がないか、墓石や基礎がどの程度あるかなどによって見積額は変わります。
寺院墓地では指定された石材店しか工事できない場合もあるため、最初に墓地の管理者へ確認する必要があります。
閉眼供養のお布施も考えておく
墓石を撤去する前には、閉眼供養を行うことがあります。「魂抜き」などと呼ばれることもあります。
お布施には全国一律の料金表があるわけではありません。一般的な情報では数万円程度の目安が紹介されていますが、宗派や寺院、これまでの関係によって異なります。
そのため、ネット上の相場だけで金額を決めるのではなく、実際に墓じまいを検討する段階になったら菩提寺へ相談するのが確実です。
離檀料は必ず払う費用ではない
寺院墓地の墓じまいについて調べると、「離檀料」という言葉も出てきます。
東京都消費生活総合センターでは、離檀時に高額なお布施を請求されるトラブルがある一方、お布施には明確な基準や支払い義務はないと案内しています。
したがって、離檀料を最初から「必ず○万円かかる費用」として総額へ加えるのは適切ではなさそうです。
長くお墓を守ってもらった寺院への感謝と、契約やこれまでの関係は別々に考え、事前に相談することが大切だと感じます。
墓じまいでは改葬の手続きも必要になる
お墓から取り出した遺骨を別のお墓や納骨堂などへ移す場合は「改葬」に当たります。
改葬許可は、自分が住んでいる自治体ではなく、現在遺骨が納められている墓地の所在地を管轄する市区町村へ申請します。
一般的には、現在の墓地管理者による埋葬の証明や、新しい墓地・納骨堂などの受入証明書などを用意して改葬許可を申請します。
つまり、「先に墓石を撤去して、遺骨の行き先は後から考える」という順番ではありません。
墓じまいを考えるときの大まかな流れ
- 家族・親族で相談する
- 現在のお寺や墓地管理者へ相談する
- 墓地の広さ・納骨されている遺骨の数などを確認する
- 新しい供養先を決める
- 現在のお墓がある自治体へ改葬許可を申請する
- 閉眼供養・遺骨の取り出しを行う
- 墓石を撤去して墓所を返還する
- 新しい供養先へ遺骨を納める
墓じまい後の永代供養はいくらかかる?
今回調べてみて、墓じまいの総額を大きく左右するのは、墓石の撤去費だけではなく遺骨をどこへ移すかだと分かりました。
主な選択肢には、合祀・合葬墓、永代供養墓、納骨堂、樹木葬などがあります。
| 供養方法 | 特徴 | 費用の傾向 | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 合祀・合葬墓 | ほかの人の遺骨と一緒に供養 | 比較的抑えやすい | 後から遺骨を取り出せない場合が多い |
| 永代供養墓 | 寺院・霊園が継続して供養 | 形式により幅がある | 個別安置期間、管理費 |
| 納骨堂 | 屋内などの納骨スペースへ収蔵 | 数十万円~100万円以上も | 年間管理費、収蔵人数 |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標とする形式など | 個別・家族型では高くなる場合も | 何人まで入れるか、将来の合祀時期 |
東京の永代供養を調べると1人10万円の合葬墓もある
私は現在、練馬区・豊島区・板橋区の区境に近い場所で暮らしています。
現在のお墓は足立区にありますが、もし将来改葬するのであれば、次の供養先まで足立区にこだわる必要はないと考えています。
今の生活圏から行きやすい池袋周辺や都心部、あるいは私自身が生まれ育ち、今でも思い入れのある浅草方面も候補になります。
そこで東京都内の実例を調べてみると、台東区元浅草の本行寺では、合葬墓が1霊10万円と案内されています。年間管理費は不要です。
同じ台東区でも、谷中永代供養・樹木葬霊園では、全部個別納骨の樹木葬が1名47万円~、2名77万円~、4名102万円~となっています。
三ノ輪駅から徒歩1分の梅林寺では、合祀が1名10万円、一定期間骨壺で安置してから合祀するプランは、期間によって1名15万8,000円から36万8,000円と案内されています。
同じ「永代供養」でも、最初から合祀するのか、一定期間個別に安置するのか、家族単位で場所を確保するのかによって費用は大きく違うことが分かります。
ここで挙げた寺院を改葬先として決めているわけではありません。将来の選択肢を考えるため、東京都内で実際にどのくらいの費用差があるのかを確認したものです。
自分の場合は墓じまいにいくら準備すればよい?
ここまで調べると、私自身が最も知りたかった「結局いくら必要なのか」が少し見えてきました。
ただし、現在のお墓は、記憶では1m四方ほどです。正確な面積や、何柱の遺骨が納められているのかまでは確認できていませんが、ここでは墓地を約1㎡として概算してみます。
| 想定 | 墓石撤去 | 閉眼供養 | 新しい供養先 | 概算 |
|---|---|---|---|---|
| 合祀1霊 | 10万~15万円 | 3万~10万円程度を仮定 | 10万円 | 約23万~35万円 |
| 合祀2霊 | 10万~15万円 | 3万~10万円程度を仮定 | 20万円 | 約33万~45万円 |
| 2霊を個別供養 | 10万~15万円 | 3万~10万円程度を仮定 | 50万~70万円程度の場合 | 約63万~95万円 |
| 2霊の樹木葬 | 10万~15万円 | 3万~10万円程度を仮定 | 77万円の実例 | 約90万~102万円 |
この試算には、遺骨の取り出し費用や洗骨・乾燥が必要になった場合の費用、移送費、墓石撤去の追加工事などは含めていません。
また、閉眼供養のお布施は寺院によって異なるため、3万~10万円を仮の幅として計算したものです。
それでも、費用を抑えた合祀を選ぶ場合と、個別供養や樹木葬を選ぶ場合では、総額に数十万円の差が生まれることが分かります。
費用を抑えるなら最初に確認したいこと
墓じまいに使えるお金には限りがあります。供養を大切にしながらも、必要のない費用まで増やしたくはありません。
今回調べた範囲では、いきなり業者へ見積もりを依頼する前に、まず自分で確認できることがかなりあります。
- 現在の墓地の面積を確認する
- 何柱の遺骨が納められているのか確認する
- 墓地の使用規則を確認する
- 指定石材店があるか確認する
- 撤去見積もりに基礎・カロート・整地まで含まれるか確認する
- 遺骨の取り出し費用が別料金か確認する
- 新しい供養先の初期費用だけでなく年間管理費も確認する
- 将来、承継者が必要か確認する
- 個別安置から合祀へ移る場合は、その時期を確認する
- 親族とも事前に話しておく
現在のお墓は、記憶では1m四方ほどです。ただ、代々のお墓なので、現在何柱の遺骨が納められているのか、私は正確には把握していません。
代々のお墓には、私自身が直接知っている家族だけでなく、さらに前の世代の遺骨も納められている可能性があります。すべてを個別に改葬するのか、一定の世代より前の遺骨は合祀を選ぶのか。費用だけでなく、家族としてどのように供養したいのかも考える必要がありそうです。
墓じまいを具体的に進める段階になれば、納められている遺骨の数と、それぞれをどのような形で供養するのかによって、改葬先にかかる費用も変わってきます。
改葬先は車がなくても行ける場所を考えたい
墓じまいを考える理由は、お金だけではありません。
現在は自家用車があるため、駅から離れたお寺でも墓参りに行けています。しかし、将来免許を返納した後まで考えると、公共交通機関で行きやすいことは重要な条件になります。
私自身が元気な間だけではなく、その先に娘がお参りすることまで考えれば、駅から歩いて行ける場所の方が負担は少なくなるでしょう。
だから、もし改葬するのであれば「現在のお墓に近いこと」よりも、「これから家族が行きやすいこと」を優先してもいいのではないかと考えています。
池袋周辺や都心部、そして私にとって思い入れのある浅草方面を候補として考えているのも、そのためです。
合祀は安いだけで決めない方がよさそう
費用だけを見ると、1霊10万円程度から選べる合祀・合葬墓は大きな選択肢になります。
ただし、合祀ではほかの人の遺骨と一緒に納めるため、後になって「やはり別の場所へ移したい」と思っても、個別に取り出せない場合があります。
これは価格以上に大きな違いです。
一定期間は個別に安置して、その後合祀する永代供養もあります。費用を抑えることは重要ですが、先祖代々の遺骨をどう供養したいのかは、家族で考えてから決める必要があると感じました。
今すぐ墓じまいをしなくても費用は知っておきたい
今回調べてみて、墓じまいは「墓石を撤去するだけ」ではないことがよく分かりました。
墓石の撤去、閉眼供養、改葬の手続き、遺骨の取り出し、そして新しい供養先。それぞれを積み上げて初めて、実際に必要なお金が見えてきます。
2026年の調査では、墓じまいを検討した理由として「お墓が遠方にある」が52.0%、「お墓の継承者がいない」が44.1%と上位になっています。
わが家の場合も、今すぐ墓じまいをしなければならない事情があるわけではありません。
母も私も元気ですし、現在も家族で墓参りを続けています。
それでも、母の足腰が弱ってきたこと、自分が将来免許を返納する可能性、その先に一人娘がいることを考えると、「まだ大丈夫だから何も考えない」というわけにもいかなくなりました。
墓じまいをするかどうかは、まだ決めていません。
ただ、元気な今だからこそ、どのくらいのお金が必要なのか、どんな供養方法があるのかを知っておくことはできます。
現在のお墓は記憶では1m四方ほどです。次に確認したいのは、そこに何柱の遺骨が納められているのか。そして、将来墓じまいをするとしたら、それぞれをどのような形で供養するのかです。
そこまで分かれば、「わが家の場合、墓じまいには実際どのくらい必要になりそうか」を、もう少し現実的に考えられそうです。


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