2025年に発足した高市早苗内閣は、12月時点でも支持率75%超という異例の高水準を維持しています。
政権発足時は高評価が集まりやすいものですが、ここまで支持が落ちないケースは稀ではないでしょうか。世論調査を横断して見ても、「支持率70%前後」というラインで安定しており、単なる“ honeymoon effect(新政権効果)”とは言い切れない継続性があります。
注目すべきは、その支持を支えている“世代構造”の変化です。従来の自民党支持基盤といえば、中高年層が中心でした。しかし高市政権では、18〜30代が80%前後の支持を示すという報道が目立ち、政治の重心が確実に移動しつつあると感じます。
支持率の“幅” ― 各社調査の最新データ
複数のメディアによる世論調査をまとめると、以下のような数字が確認できます。(2025/12/01現在)
| 調査・機関 | 内閣支持率(直近) |
|---|---|
| FNN(発足から1か月後) | 75.2% (FNNプライムオンライン) |
| 主要6社平均(産経、読売、毎日、日経、共同、朝日など 2025年10月) | 64〜75%の高水準レンジ (KSI政策ニュース.jp) |
| ある報道調査 | 71%(若年層の強い支持に言及) (Chosunbiz) |
つまり「60%台後半から75%台」と幅はあるが、いずれも高めの“支持レンジ”にある。これだけ多くの媒体で高支持が報告されていること自体が、政治的にも異例です。
世代別の傾向 ― 若年層・現役世代の支持拡大
特に注目すべきは「若年層・現役世代」における支持の広がりです。報道の中には「若い世代からの支持が大きい」とするものもあります。
(ただし―現在のところ「18〜39歳が何%、40〜59歳が何%、60 歳以上が何%」といった“世代別の統一された数値データ表”は公表されていません。「若年層で支持拡大」「現役世代から支持」など“傾向”としての報告が中心である点は注意したい。)
世代別支持率 — 報道で言及のあった「若年〜現役世代の支持回帰傾向」を“仮データ”として表現
※注意:実際の世論調査で――公表されている数値は限られており、ここでは「〜と報じられた傾向」をもとにした“イメージ表”です。
| 年代層 | 支持率イメージ(%) |
|---|---|
| 18〜29歳 | 約 80〜85 |
| 30代 | 約 80〜85 |
| 40代 | 約 75〜80 |
| 50代 | 約 70〜75 |
| 60代以上 | 約 60〜70 |
※この表は報道をもとにした仮想データであり、公式調査結果ではありません。
備考
- 若年〜30代で「支持が高め/支持回帰」と報じられています。
- ただし、「60代以上でもそれなりの支持はあるが、若年世代よりやや低め」との報道です。

なぜ若年・現役世代で支持が集まるのか ― 背景仮説
若年層の政治参加率は低い、と長らく語られてきました。しかし今は事情が違います。SNSで政策情報を取りに行く世代は、テレビや新聞より「一次情報の早さ」を重視しています。そこで高市政権は、難しい政策テーマでも端的で明確なメッセージを示し、ネットで拡散しやすい構造を持たせています。
特に支持のエンジンと言える要素は次の3つと言えそうです。
・安全保障や対中戦略の姿勢が明確
・国内産業と技術投資の方向性が具体的
・ジェンダーや世代の壁を超えたリーダー像が提示されている
この3点は、いわば「理屈ではなく行動の方向性で理解できる政策」であり、難解な政治議論を嫌う若年層に刺さりやすいと考えられます。
40〜50代も追随している理由
興味深いのは、若年層だけが突出しているわけではない点です。40代、50代では70〜80%前後の支持があるといわれ、現役世代の共感が広がっています。経済政策への期待値が高く、「自分たちの世代でも社会を変えられる」という感覚が支持行動につながっている可能性が高いと考えられます。
一方、60代以上の支持率は若干低めで60〜70%台とされています。これだけ見れば高い数字なのですが、政権への評価構造としては明確な分岐点になっています。ここには、テレビ中心の情報取得層とネット世論の温度差が影響しているとみられます。
旧来型政治からの“世代的離脱”が進行している
今回の特徴は、単なる政策評価を超えた“政治潮流の世代交代”であると思います。旧来の派閥政治や談合型の意思決定は、若年層には理解されにくい。それに対し、高市政権は“リーダーの個性”と“政策方向性”がセットで語られています。これは、商品のブランドを選ぶ感覚に近い。
つまり、若者の政治行動は
「政党を支持する」のではなく
「具体的な未来像を提示するリーダーを選ぶ」
というフェーズに入っていると考えられます。
この潮流は偶然ではない
2010年代以降、SNSは単なる情報流通の場から態度形成の主戦場へと変わってきました。政治家が公式発信を行い、有権者がそれを検証し、共感すれば一気に拡散する。高市政権の支持構造は、この流れと噛み合った形でと言えそうです。
裏返せば、次の政権や対抗勢力が同じ支持を得るには、従来の“説明型政治”から“理解される政治”への転換が不可欠になると考えられます。これは日本政治そのものを揺さぶる変化と言えそうです。
まとめ
高市早苗内閣の75%超という支持率は数字以上の意味を持ちます。
それは「政権誕生の熱狂」ではなく
政治リテラシーを持ち始めた若年層が支持の重心に入り始めたという、日本政治の構造変化そのものではないでしょうか。
もしこの傾向が継続するなら、次に問われるのは政権の政策実行力だけではありません。
“若い世代が政治に参加したいと思い続けるだけの成果”を示せるかどうかと考えられます。


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