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首都高268キロ死亡事故で被告はなぜ否認したのか|危険運転致死が争点になった理由

首都高268キロ死亡事故

2026年1月27日、首都高速・湾岸線で起きた死亡事故をめぐる裁判で、横浜地裁は危険運転致死罪を適用し、被告に懲役12年の実刑判決を言い渡しました。
時速約268キロという常軌を逸した速度で走行し、夫婦2人を死亡させた重大事故です。

多くの人が疑問に感じたのは、
「なぜここまでの事実がありながら、被告は起訴内容を否認したのか」
という点ではないでしょうか。

本記事では、裁判で争われたポイントと、被告が否認に至った理由を整理します。

目次

事故の概要と判決内容

この事故は2020年8月、首都高速・湾岸線の東扇島インターチェンジ付近で発生しました。
被告は高級外車のポルシェを運転し、前方を走行していた乗用車に追突。
内山仁さん(当時70)と妻の美由紀さん(当時63)が死亡しています。
このポルシェを運転していたのは、当時56歳の彦田嘉之被告でした。

裁判で横浜地裁は、

・時速268キロという超高速度
・一度事故を起こせば死亡に直結する危険性
・自己中心的で悪質な運転態度

を重く評価し、危険運転致死罪の成立を認定。
求刑15年に対し、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。

被告は何を否認していたのか

被告が否認していたのは、主に次の2点です。

1つ目は、
「妨害目的で走行していた」という点
隣の車線のトラックを妨害する意図はなかったと主張しました。

2つ目は、
危険運転致死罪が成立するほどの“危険性の認識”があったかどうかです。
被告側は、過失運転致死にとどまると主張していました。

つまり、
「速かったのは事実だが、危険運転罪に当たるほどではない」
という線で争っていたことになります。

危険運転致死罪が争点になりやすい理由

危険運転致死罪は、適用要件が非常に厳しい犯罪です。

単にスピードを出していた、
単に無謀だった、
というだけでは成立しません。

・制御困難な速度だったか
・死亡の危険を認識していたか
・故意に近い危険行為だったか

こうした点が細かく争われます。

そのため、被告側としては
「危険運転ではなく過失だ」と主張することで刑を大きく軽くできる可能性
があり、否認に踏み切るケースが少なくありません。

被告の供述が示す“認識のずれ”

注目すべきなのは、被告自身の発言です。

・時速200キロ以上で走ったことは「5、6回ある」
・「危険性をそれほど強く認識していなかった」

この供述から浮かぶのは、
自らの運転がどれほど異常だったかという認識の欠如です。

裁判所が指摘した
「運転技術を過信し、危険意識が低下していた」
という評価は、この点に直結しています。

否認の背景には、
自分は制御できていた、事故になるとは思っていなかった、
という歪んだ自己評価があったと考えられます。

なぜ裁判所は危険運転致死を認めたのか

裁判所が重視したのは、

・時速268キロという具体的数値
・事故が起きれば死亡に直結する危険性
・妨害行為の有無以前に、速度そのものが制御困難だった点

です。

たとえ妨害目的が明確でなくても、
「一度事故を起こせば死亡する危険を認識し得る状況」
で走行していたこと自体が、危険運転に当たると判断されました。

否認は、法的には退けられた形になります。

否認戦略がもたらした結果

被告は最後まで危険運転致死罪の成立を否定しました。
しかし結果として、

・求刑15年
・判決12年

と、極めて重い実刑判決が下されています。

否認によって刑が軽くなることはなく、
むしろ反省の乏しさとして量刑に不利に働いた可能性も否定できません。

この裁判が社会に突きつけたもの

この事件は、単なるスピード違反事故ではありません。

・危険運転致死罪の適用基準
・超高速走行に対する司法の評価
・運転者の危険認識の限界

を社会に強く問いかける裁判となりました。

「なぜ否認したのか」という疑問の裏には、
人は自分の危険行為をどこまで正しく認識できるのか
という、より本質的な問題があります。

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