兵庫県で起きている県幹部の告発「七つの疑惑」。
自殺者も出ているこの問題について、斎藤元彦知事に対して辞職を求められる理由と、知事が辞職しないと表明するその理由についてリサーチしました。
斎藤元彦・兵庫県知事が辞職を求められる理由は?
斎藤知事は「改革派」をうたっており「知事選で掲げた公約の9割以上に着手・達成できた」と自画自賛しています。
しかし、兵庫県では兵庫県知事に対して数々の疑惑が県職員の告発により露呈しています。
そもそもの問題の発端は?
県幹部の一人だった当時の西播磨県民局長が2024年3月に、斎藤知事やほかの県幹部に対する「七つの疑惑」を告発する文書を作成し、一部の県議や報道機関に配ったのが事の発端です。
- 五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯
- 知事選挙に際しての違法行為(幹部による事前運動)
- 選挙投票依頼行脚
- 贈答品の山(知事のおねだり体質)
- 政治資金パーティー関係
- 優勝パレードの寄付金集めで片山安孝副知事等の不正行為 (プロ野球阪神・オリックス優勝パレード)
- パワーハラスメント
2024年3月に元局長が斎藤知事等の様々な疑惑を記した文書を配布したことに、県は内部調査を実施。
斎藤知事は「業務時間中に『嘘八百』含めて、文書を作って流す行為は公務員失格です」と語りました。
その結果、3月27日に事実無根の内容だとして、文書の内容の核心的部分の事実ではなく、文書は誹謗中傷に当たるとし元県民局長を解任。
さらに、元県民局長は3月末付で退職予定であったが、これを認めず総務部付としました。
その後5月に停職3ヶ月の懲戒処分となリました。
県議会や県民からの不信感は広がり、このような状況を受け、6月13日には本疑惑を調査・審議するための強い調査権を持つ百条委員会が設置され、元県民局長も7月19日の証人として出頭する予定でした。
しかし、7月7日に姫路市内で死亡しているのが見つかりました。
「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージとともに百条委員会に出頭できない代わりに、疑惑の根拠となる情報源や、具体的な日時や場所などを記した陳述書と音声データを残していました。
亡くなった元西播磨県民局長(60)の妻が、7月12日に県の担当者に向け
「あまりにも突然のことで、いまだに実感は湧きません。しかし、主人がこの間、県職員の皆さんのためを思って取った行動は、決して無駄にしてはいけないと思っています」
と文章を送っています。
パワハラ告発
斎藤知事は気に入らない事があると、直ぐに職員を怒鳴りつけるとされています。
・会場建物入り口より20m手前で公用車を降ろされて歩かされただけで怒鳴り散らす。
・レクで気に入らないことがあると机を叩いて激怒
・チャットによる日時・時間無視の幹部職員への指示
斎藤知事は会見において「嘘八百」と否定していましたが、後の会見で嘘ではないことが明らかになりました
おねだり体質
百条委員会が実施した県職員アンケート(9700人を対象)で約7割が回答。
斎藤知事の贈答品受領を見聞きしたとする人の割合は20.7%(946人)だった。
「おねだり」については、この様な事例が報道されています。
・出張先での飲食は原則ゴチのタカリ体質、お土産必須。
・地元のワインが話題になった時『まだ飲んでいないので、お願いします』。
・特産品のカニやカキなどの贈答品を受け取っていた。
・淡路島産の玉ねぎを大量に自宅に送らせた。
・スポーツ用品メーカーの靴をほしいとと発言。色指定までも。
・旅費規定を超える宿泊費用かかる高級温泉旅館への宿泊希望し宿泊した。
隠蔽体質
公約173項目のうち171項目を達成・着手したと述べた斎藤知事。
しかし、公約集を自身のHPから削除しています。
本当に達成できたのか誰も検証できない状態にあります。
コロナ禍の『重症病床の倍増』や『全てのワクチンの医療機関での接種可』といった公約もすぐに断念しています。
斎藤知事が辞めない理由は?
労働組合の幹部が片山副知事と会談し辞職含めた対応を求めた申入書を手渡しました。
「告発をした職員を守ることができなかったことは痛恨の極みだ。文書問題の発生以来、現場の業務遂行には、大きな支障が生じている状況であり、県政が停滞し、もはや県民の信頼回復が望めない状況になっている。知事として責任ある対応を求める」
片山副知事は、斎藤知事に5回も辞職を勧めたが拒否されたとし、そのまま引責辞任されました。
斎藤知事は進退について、このように述べています。
「私自身が生まれ変わって県職員や県民とともによい県政を進めていく環境づくりに全力で取り組んでいくことが私に課せられた果たすべき役割だと考えている。」
斎藤知事が辞職を決断しない理由について考えてみます。
使命感と責任感
地方自治体のトップである知事として、県民の期待を背負って選挙で選ばれ、兵庫県民の幸せを実現すべく使命に強い責任感を持っているのではないでしょうか。
「困難に対してリーダーは逃げ出さずに立ち向かうべき!」という考えがあるのかもしれません。
責任の取り方には、相反する考え方があるのではないでしょうか。
「辞任して責任をとる」という考え方と、「続投して問題解決に当たるべき」という考え方です。
どちらにも一理あると思います。
政策への自信と信念
斎藤知事は就任以来様々な政策を打ち出して、知事選で掲げた公約の9割以上に着手し達成できたと述べています。
知事として自身が掲げた政策や理念を実現させたことはとても重要です。
兵庫県を良くするために信念を持って職務をこなしてこられ、辞任することはこの信念を捨てることになります。
「批判はあっても、自身の政策は間違っていない」という強い信念があるのかもしれません。
政治的駆け引き
知事としての政治の世界では支持基盤との関係は重要です。
斎藤知事は日本維新の会の推薦を受けて知事に当選しています。大阪以外で初めて誕生した維新の会系知事です。
政治的な駆け引きもあるのだと思います。次の選挙や権力争いを見据えて政治的な思惑の判断をしているのかもしれません。
大阪万博も控えていて計画にたいしても、影響が懸念されます。
報酬
ネットには見方を変えて報酬に対しての意見も有りました。
兵庫県知事の報酬は、1761万円(2022年)とされています。
給与が月額約106万円
ボーナス(2023年)冬249万円・夏238万円
2025年7月末の任期満了をされた場合は退職金約2,000万円の支給が見込まれます。
この退職金を得られるまで続けたいのでは?
経歴
2002年に総務省に入省。旧自治省系の部局を中心に経験を積む。
2018年には大阪府に出向し財政課長に就任
2021年3月末に同省を退職(一応大阪府から総務省に戻って退職という形式が取られる)
兵庫県知事選への立候補を表明。
日本維新の会の推薦も受けて同年7月18日に初当選を果たした。
若手かつ任期1期目の、新人知事。
知事経験者の談話
知事経験を持つ弁護士の談話では、「今取り上げられているパワハラ問題やおねだり問題は知事を辞めるほどの事実ではない」とされています。
行き過ぎた注意や厳しい注意の範疇で『以後、注意します』で収まる。
おねだりについても、受け取って便宜を図るのは贈収賄に当たるが「全国の9割9分の知事が特産品はみんなもらっています」と語っています。
問題は最初の告発、怪文書が出た時に外部に調査を委ねる必要が有ったのを『嘘八百』『事実無根』と言って告発を潰してしまったのが大きな権力の乱用となり、このことが本質的な問題と考えられる。
議会が不信任決議を出すことで不信任になった知事は素直に辞めるか、議会を解散する2つの選択肢がある。
選挙で改めて議員を決め、この不信任決議を出した側が過半数を取ってもう一度不信任決議を出せば、自動的に知事はやめなければならない。
この兵庫県議会が問題で、日本維新の会が応援している斎藤知事に対して腹をくくって不信任決議をやるのかが隠れた問題だと。
おわりに
兵庫県で起きている斎藤知事への告発に関し辞職を求められる理由と、知事が辞職しない理由について考えてみました。
斎藤知事を選んだのは兵庫県民です。
もし、それが、誤った選択であったと認識なのであれば、リコールをするという選択肢があります。
不信任決議を出す事が出来ますので、手続きを経た上でより生産的な選択肢をされることを期待しています。
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