テレビやエアコンのリモコンは、ボタンを押すだけで機器を操作できます。
しかし、そのとき実際に何が起きているのかを意識する機会はあまりないのではないでしょうか。
リモコンから発信されているのは、私たちの目には見えない赤外線です。
そして、この赤外線は「電磁波」と呼ばれるものの一種にあたります。
本記事では、
・赤外線とは何か
・なぜリモコンに赤外線が使われているのか
・赤外線と電磁波の関係
について、専門知識がなくても理解できるようにやさしく解説します。
仕組みを知ることで、
「なぜスマホやカメラで赤外線が見えるのか」
「リモコンが反応しない原因は何か」
といった疑問も自然と理解できるようになります。
赤外線とは?
赤外線とは、光の一種でありながら人間の目には見えない電磁波です。
可視光と同じ性質を持っていますが、波長が可視光よりも長いため、私たちは直接確認することができません。
赤外線には種類があり、
・近赤外線
・中赤外線
・遠赤外線
に分けられます。
家庭用テレビやエアコンなどのリモコンで使われているのは「近赤外線」です。
なぜリモコンに赤外線が使われているのか
リモコンのボタンを押すと、先端部分から赤外線が発信されています。
しかし、私たちの目にはその光が見えません。
これは欠点ではなく、むしろ大きなメリットです。
もし可視光を使って通信していた場合、
ボタンを押すたびに光がチカチカと見えてしまい、日常生活では非常に邪魔になります。
赤外線は
・人間には見えない
・まっすぐ進みやすい
・近距離通信に向いている
という特徴があり、リモコン用途に非常に適しています。
「人間には見えない」この性質を使ってリモコンには赤外線を採用しているのです。
電磁波とは?
電磁波とは、電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を伝わる波のことです。
電気と磁気は単独で存在するものではなく、一方が変化すると、もう一方も発生します。
この現象が空間を伝わることで「波」となったものが電磁波です。
赤外線は、この電磁波の中の一つにあたります。
この波を電磁波といい、波の伝わる場所を電磁界といいます。
電磁波の種類と位置づけ
電磁波は波長(または周波数)の違いによって分類されます。
主なものは
・ガンマ線、X線
・紫外線
・可視光
・赤外線
・電波
この中で、人間の目で見えるのは可視光のみです。
可視光はおよそ380nm〜780nmの範囲で、
波長が短い方を紫、長い方を赤として認識します。
赤外線は、赤色よりさらに波長が長い位置に存在します。

電磁波は、波長(あるいは周波数)に応じてさまざまな種類があります。
放射線(γ線・X線)、光(紫外線・可視光線・赤外線)、電波、電磁界に分類されます。
人はなぜ「見える」と感じるのか
私たちが物を見るとき、
実際には「物体そのもの」を見ているのではありません。
人間の目は波長が380nm~780nmの電磁波を捉えることができ、それぞれの波長を色として感じ取れます。
物体に反射した電磁波(光)を目で受け取り、脳が色や形として処理しています。
そのため、
・可視光は見える
・赤外線は見えない
という違いが生まれます。
私達がものを見て認識するときには、物体から出る電磁波の光の波を目で捉えているのです。
豆知識 1️⃣
可視光の色の並びは、
赤・橙・黄・緑・青・藍・紫
これを
この目に見える領域の電磁波は目で捉えることが出来ることから「可視光」といいます。
豆知識 2️⃣
可視光は衣服で反射しますが、
赤外線は衣服を透過し、肌で反射する性質があります。
薄い生地の衣服では透過してしまいます。
最近は対策された素材が多くなり透けにくくなっていますが、赤外線カメラを使って撮影すると普通のカメラとは違った画像になります。
この性質を利用したのが赤外線カメラで、通常のカメラとは異なる映像が撮影されます。
ヘビなど一部の動物が見ている世界は、この赤外線映像に近いと言われています。
昔一般に市販されていたビデオカメラなどでは、カットフィルタが組み込まれていない時代があり透けて見えてしまうビデオカメラなどが有りました。


おわりに
赤外線は、
・目に見えない
・電磁波の一種
・リモコン通信に最適
という特徴を持った身近な存在です。
スマホやカメラを使って赤外線を確認できるのは、
この仕組みを応用したちょっとした活用例に過ぎません。
仕組みを知っておくと、
リモコンや通信技術への理解もグッと深まります。


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