NHKアナウンサーの和久田さんが退職されるとの報道をきっかけに、SNS上では「育休もらい逃げ」という強い言葉が飛び交っています。
報道によると、和久田麻由子アナは育児休暇を取得した後、復職することなく有給休暇を消化して退職する形を取ったとされています。
育休は法律で認められた正当な制度であり、取得そのものが問題視されるべきものではありません。
それにもかかわらず、なぜ今回これほど大きな批判や違和感が生まれているのでしょうか。
この騒動は、単なる個人批判ではなく、育休制度そのものが抱える「前提」と「現実のズレ」を浮き彫りにしているようにも見えます。
和久田アナ退職報道で広がった「育休もらい逃げ」論争
和久田麻由子 https://t.co/Oyihm4qb9F #NHK pic.twitter.com/TxyMNWWQxb
— annnwiki (@annnwiki) December 9, 2025
今回の報道を受けて、SNSやヤフーコメント欄では
「制度上は問題ない」
「それでもモヤモヤする」
といった賛否が入り混じった反応が目立ちました。
「育休もらい逃げ」という言葉が使われる背景には、
「育休は復職を前提とした制度ではないのか?」
という素朴な疑問があります。
育児休暇は、子どもを育てながら仕事を続けるために設けられた制度です。
そのため多くの人は、「いずれ職場に戻ってくる」という前提で受け止めています。
この前提が崩れたと感じたとき、強い違和感や不公平感が生まれるのです。
育休後に退職することは本当に「ズルい」のか
【スポニチ報道】NHK和久田アナが来春までに退局、4月期から日テレ新番組担当かhttps://t.co/wD5kOHQN1q
— ライブドアニュース (@livedoornews) December 26, 2025
来春までにNHKを退局し、『with MUSIC』が放送されている日本テレビの土曜午後10時枠で来春スタートする報道番組のキャスターに内定していると報じられた。 pic.twitter.com/kw4Z0FkY1R
冷静に整理すると、育休後に退職すること自体は違法でも不正でもありません。
人生の事情が変わり、働き方を見直す選択をすることは誰にでもあり得ます。
しかし問題視されているのは、行為そのものよりも
「制度の趣旨と使われ方がズレて見えること」
にあります。
企業側は、育休取得者が復職することを前提に人員配置や業務調整を行います。
同僚も、一時的な負担増を受け入れながら現場を支えます。
その中には、「お互いさま」「いずれ戻ってくる」という暗黙の信頼関係があります。
この信頼が結果的に裏切られたと感じたとき、
「ズルい」「もらい逃げだ」
という感情的な言葉に変わっていくのです。
男性の育休ケースに共感が集まる理由
今回の騒動では、
「男性でも育休を取ってそのまま退職した人を知っている」
「女性だけが叩かれるのはおかしい」
という声も多く見られました。
実際、育休後に退職するケースは性別に関係なく存在します。
このことからも、今回の問題は男女対立ではなく、
「制度と働き方の関係」
の話であることが分かります。
性別にかかわらず、同じ構図が起きたときに同じ違和感が生まれる。
それだけ、育休制度が“信頼”の上に成り立っていることを示しています。
勤勉に働く人ほど感じやすい不公平感
育休後に職場へ戻り、制限のある中でも働き続けている人。
育休を取らずに現場を支え続けてきた人。
そうした人たちにとって、
「育休取得→復職せず退職」
という流れは、努力が軽視されたように映ることがあります。
ここで生まれる不満は、
「育休を取った人が悪い」
という単純な話ではありません。
問題は、制度を誠実に利用しようとする人と、そう見えない使われ方との間に生じる感情のズレです。
雇う側が本当に恐れていること
企業が最も恐れるのは、育休制度そのものではありません。
むしろ制度が「抜け道」のように見えてしまうことです。
一部の使われ方が目立つことで、
「次に育休を取りたい人が取りづらくなる」
「現場の理解が得られなくなる」
といった副作用が生まれます。
制度が形だけ残り、信頼が失われたとき、
最終的に困るのは制度を本当に必要としている人たちです。
まとめ
個人ではなく制度の前提を考えました。
和久田アナの退職をめぐる騒動は、誰かを断罪するための話ではありません。
育休も退職も、本来は個人の自由であり権利です。
ただし、制度は信頼の上に成り立っています。
今回の議論は、
「育休制度をどう守り、どう使っていくべきか」
という問いを私たちに突きつけています。
感情的な言葉の裏にある違和感を丁寧に見つめることが、
制度をより良いものにしていく第一歩なのかもしれません。


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