BYDが世界EV販売首位に立つというニュースは、日本のEV政策が本当に正しかったのかを私たちに突きつけています。
中国の電気自動車(EV)メーカーBYDが、テスラを抜いて2025年の世界EV販売台数で首位に立つ見通しだと報じられました。
価格競争力の高さに加え、政府主導の産業支援や巨大な国内市場を背景に、BYDは急成長を続けています。
一方で、電気自動車(EV)は「環境に優しい次世代車」として語られ、今や一種の流行語のようになりました。
しかし、その流れの中で、日本の自動車産業、とりわけトヨタをはじめとする国内メーカーは、必ずしも追い風を受けているとは言えません。
なぜEVが世界的に評価される一方で、日本の自動車産業は置き去りにされつつあるのでしょうか。
BYDが世界EV販売首位に立てた本当の理由
BYDが世界首位に立てた理由は、単純に技術力だけではありません。
中国政府による強力な産業支援、補助金政策、規制面での後押し、そして世界最大級の国内市場。
この「勝てる構造」が整っていたことが、急成長の最大の要因です。
価格を抑え、まず台数を売る。
この戦略自体はビジネスとして合理的であり、BYDが世界首位に立ったことを否定するものではありません。
しかし、この成功モデルが、そのまま日本に当てはまるかというと、話は別です。
日本ではなぜEVよりハイブリッドが現実的なのか
日本では、EVよりもハイブリッド車の方が現実的だと考える人が多くいます。
その理由は、生活インフラと社会構造が大きく異なるからです。
集合住宅が多く自宅充電が難しい環境、
地方では移動距離が長く充電スポットも限られる現実、
災害時に電力供給が不安定になるリスク。
これらを踏まえると、日本においては
「EVかガソリンか」ではなく、
今あるインフラでCO2を減らせるハイブリッド車が、最も合理的な選択肢であり続けてきました。
EV社会に不可欠な電力インフラという大きな課題
EVを本格的に普及させるには、車両だけでは不十分です。
発電所、送電網、充電インフラといった社会基盤の整備が不可欠になります。
AI、データセンターの拡大と電動化が同時進行する中で、
日本の電力供給は本当に足りるのか。
この現実的な疑問に、明確な答えはまだ出ていません。
EV補助金は本当に日本産業を後押ししているのか
問題視されているのは「EVそのもの」ではなく、補助金の使われ方です。
EV補助金は環境政策として導入されました。
しかし実際には、その補助金によって売れているのは、価格競争力のある海外製EVであるケースも少なくありません。
その為、国内の部品産業や雇用、技術の蓄積につながりにくいのです。
結果として、日本の自動車産業を強くしていないのではないかという疑問が広がっています。
しかし、日本市場向けの車種は海外輸出に向きにくく、
結果として日本の産業育成に直結しにくい構造になっています。
税金を投入しても、
国内の部品産業や雇用、技術の蓄積につながりにくい。
その一方で、補助金の原資は税金。
「なぜ外国メーカーの販売を後押しするのか?」
という疑問が出るのは自然な流れでしょう。
安さ優先のEVと日本車の「ものづくり思想」の違い
現場の視点からは、設計思想の違いを指摘する声もあります。
足回りの構造、使われている部品、空力設計などにおいて、
日本車では考えにくい割り切りが見られるという評価です。
これは品質が低いという単純な話ではありません。
耐久性や安全性よりも価格を最優先する思想の違いが、
車づくりに表れているということです。
EVは本当に環境に優しいのかという根本的な疑問
EVは走行時にCO2を排出しません。
しかし、製造から廃棄までを含めたライフサイクル全体で見たとき、
本当に環境負荷が低いのかという点は、十分に検証されていません。
中国国内では、使われなくなったEVが大量に放置されているという報道もあり、
リサイクルや資源循環まで含めた課題が浮き彫りになっています。
EVの真価は5年後に分かるという現実
EVの評価は、購入直後では判断できません。
バッテリーの劣化、交換コスト、中古市場での価値などは、
数年経って初めて見えてくるものです。
企業としての実力も、販売台数ではなく、
安定した利益を出し続けられるかどうかで測られるべきでしょう。
まとめ:流行ではなく日本の国益からEV政策を考える時期
EVそのものを否定する必要はありません。
しかし、日本全体の社会構造、電力インフラ、産業基盤を踏まえたとき、
拙速にEV一本へ振り切ることが、本当に国益につながるのかは慎重に考えるべきです。
BYDが世界EV販売首位に立つというニュースは、
「EVが正解かどうか」ではなく、
日本はどの分野で強みを活かし、どこに税金を使うべきかを
改めて問い直すきっかけになっているのではないでしょうか。


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