中国のJ-15戦闘機レーダー照射問題、日本はなぜ「無線通達の真偽」を語らないのか?
多くの人が抱く素朴な疑問だと思います。
中国空母「遼寧(リョウネイ)」から発艦した戦闘機J-15から、航空自衛隊(空自)のF-15に2度レーダーを照射をしたことは、防衛省の発表と日本政府の抗議で明らかになりました。
一方で中国側は
「日本側も無線通達を受信していた」
と主張しており、日本国内では
「なぜ日本は否定も肯定もしないのか?」
という疑問が強まっています。
実際、私自身も今回の件で「なぜ事実関係をはっきりさせないのか?」と感じました。
調べていくと、沈黙の背景には 軍事機密・情報戦・現場保護 の3つが浮かび上がります。
この記事では、その理由を整理しながら、日本が“あえて沈黙する”背景を解説します。
1.自衛隊が情報を出したくない最大の理由は「軍事機密」

レーダー照射や無線通達の有無を公表することは、具体的な機器の…
- 性能
- 受信範囲
- 警戒網
- 監視能力
- どの周波数を傍受しているか
に直結しています。
もし日本が
「その無線は受信していない」と言えば、
中国は “では日本の監視能力はこの程度” と分析できます。
逆に
「受信した」と明言すれば、
“どの距離・どの方法なら日本に察知されるのか” を逆算されます。
どっちに転んでも不利で、
沈黙=最も損が少ない選択肢
というのが日本の安全保障の基本姿勢です。
2.中国は「情報戦」を重視する国。日本は“守秘重視”

中国は、政治・外交・世論戦で優位に立つために
早く・強く・断定的に発信する というスタイルを取ります。
今回の
- 「日本も通達を受け取っていた」
- 「日本側にも責任がある」
とする発表は、まさに宣伝戦の一環。
事実関係よりも、
“国際世論でイニシアチブを握る” ことを優先します。
一方で日本は
- 装備情報の保護
- 運用実態の隠匿
- 現場の安全確保
を第一にするため、情報をほぼ出しません。
この“情報公開文化の差”が、
国民から見ると「日本がだんまり」のように映るのです。
3.日本が否定もしない理由:現場の自衛官を守るため

仮に本当に“無線を受信していなかった”場合、
政府が明言すると「それは現場のミス?」とされかねない。
逆に「受信していた」と認めれば、
どの状況で受信したのかという「運用情報」の暴露につながる。
防衛省は、現場の判断や装備を守るために
あえて曖昧にしている可能性が高い のです。
4.沈黙が「発言した方が勝ち」に見える問題はある
国民視点では、
- 事実が分からないままモヤモヤが残る
- 中国の一方的な発信が“既成事実化”してしまう
という問題があります。
しかし、政府としては
機密を守ることが“国家としての勝ち”
と判断しているため、詳細は出せない。
これは正しい面もありつつ、
透明性の面では課題も残ります。
まとめ
日本の沈黙は「弱腰」ではなく、中国が最も嫌う“情報を与えない戦術”と言えます。
今回のまとめです。
日本が無線通達の真偽を語らない理由
- 軍事機密の保護が最優先
- 情報を出すと中国に“答え合わせ”をさせてしまう
- 現場の自衛官を守るため
- 日本は情報戦より守秘文化が強い
つまり、
沈黙は弱さではなく「戦略的沈黙」 ということです。
ただし、国民に不信感が残るのも事実で、
今後は“出せる範囲の透明性”を高めていく必要はありそうです。


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