基礎知識
カーボンニュートラルとか脱炭素、ニュースなどで最近耳にすることが多くなったと思います。
環境問題に対する活動の用語の一つカーボンニュートラルすなわち日本語では炭素中立と表現されます。
SDGsに提唱されている「13.気候変動に具体的な対策を」に関連する事項になります。
SDGsの意味をコチラでも紹介しています。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟国193ヶ国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げ、17の目標と169のターゲットから構成されています。
2020年10月 当時の首相が総理所信表明演説で宣言されたことを覚えていませんか。
『我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会を目指すことを、ここに宣言いたします。』
初めて聞いた時「?」と思いませんでしたか。
疑問点
・温室効果ガスって何?
・カーボンニュートラルって何?
・脱炭素社会って?
・なぜ2050年?
・全体としてゼロって?
こんな疑問を感じませんでしたか。
ここでは、これらの疑問について理解して行きます。
『温室効果ガス』とは?
日常の私達の生活から生まれています。
二酸化炭素(CO2)
化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)の燃焼で発生
メタン(CH4)
主に牛などのゲップ、生ゴミなどから放出
一酸化二窒素(N2O)
堆肥、海、燃焼、などから発生
フロン
エアコンや冷蔵庫に使われています
適度な『温室効果ガス』だと
大気中の温室効果ガスは太陽光で温められた地球上の熱を吸収し地球の熱が宇宙に逃げるのを防ぎます。
適切な量の温室効果ガスが大気中にあることで地球は私達が住みやすい環境に保たれているのです。
適量の温室ガスがあることで、日光で温められた地球上の熱を吸収し、熱が宇宙に逃げるのを防ぐことが出来るのです。
『温室効果ガス』は適切な量が必要
温室効果ガスが得られないと太陽の熱はすべて放出されしまい、地表温度はマイナス19℃にまで下がると言われています。
これでは私たちは生活することが出来ません。
昔は、温室効果ガスが適量だったので、地球は快適な温度を保っていました。
地球に熱がこもってきてしまいますよね。
地球の温暖化がはじまります。
温暖化が進むとどうなってしまうでしょうか?
『温室効果ガス』必要以上に増えると…
海面水位の上昇
海水の熱膨張ほか氷床や氷河が溶けることに起因するといわれています。
動物や植物の生育域が変わる
本来の生育域が変化し、特に影響を受けやすい海域ではサンゴ礁の70~90%が減少するといわれています。
豪雨が増加し洪水の影響が大きくなる
河川の決壊による洪水被害が増えるといわれています。
食料安全保障に大きなリスク
農業・水産業では収穫地域が変わるなど、収穫量の不安定化が食料需要に影響を与えます。
温室効果ガスが増えすぎてしまい、今までの環境から大きく変わって暮らしにくい地球になってきています。
なぜ二酸化炭素(CO2)が注目されるのか?
かつてはエアコンなどのフロンガスが話題になりましたが、なぜ今CO2が注目されているのか?
その理由は、『温室効果ガス』の中で、二酸化炭素(CO2)が一番多く排出されているからです。
二酸化炭素の排出量と連動して地球の温暖化が進んでいるといわれています。
世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、『産業革命』以降で見ると、長期的には100年あたり0.75℃程度の割合で上昇しています。
『カーボンニュートラル』=『全体としてゼロ』
ニュートラルってどういうことでしょう?
”CO2の排出を完全にゼロにする”ことは現実的に難しい。
そのため、排出を減らすことと、排出せざるを得なかった分を「吸収」したり、「除去」することで、「全体としてゼロにする」ことを目指しています。
人間の生活で増えてしまった二酸化炭素を大気中から取り除き、差し引きゼロになることを『カーボンニュートラル』といいます。
なぜ「2050年までに」?
2015年12月に開催された国際会議COP21 でパリ協定が採択されて日本を含む世界の国々は2050年までに二酸化炭素を大幅に削減することに合意したからです。
COP21とは?
COPとは、温暖化対策について話し合う国連の会議です。
2010年10月末から、26回目の会議・COP26 がイギリスで開催されました。
パリ協定の内容
・気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く、できれば1.5℃に抑える努力をする
・温室効果ガスを早く減らしていき21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林等による吸収量が釣り合うカーボンニュートラルを実現させる
資源エネルギー庁のHPには
2020年以降の既往変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、「今世紀後半のカーボンニュートラルを実現」するために、排出削減に取り組むことを目的とする、とされています。
これに加えて、気候変動に関する政府間パネルの「IPCC1.5度特別報告書」によると、産業革命以降の温度上昇を1.5度以内におさえるという努力目標(1.5度努力目標)を達成するためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要という報告がされています。
資源エネルギー庁のHP
「2050年」「1.5℃」の根拠は?
IPCCという、世界各国の経済、行政、科学の専門家が集まる団体があります。
「2050年」「1.5℃」という数字は、IPCCが2013に発行した分析「IPCC第5次評価報告書」を根拠として決まりました。
産業革命と二酸化炭素はどういう関係がある?
産業革命で工業が活発になり蒸気機関、自動車、火力発電所…と新たな技術が生まれて世界で次々に化石燃料を大量消費し続けた結果、大気にたくさんの二酸化炭素が排出され地球温暖化ガスが増えてしまったのです。
二酸化炭素の主な発生源は化石燃料
化石燃料とは
化石が骨から鉱物に変化しように、太古の生物の死骸が燃料に変化したものなので化石燃料と呼ばれます。
日本の火力発電はいくつかの化石燃料を使って発電しています。
発電量が多い順に①天然ガス、②石炭、③石油です。
天然ガス、石油
太鼓の動物の死骸焼かれた植物が変化したもの(諸説あり広く受け入れられている説)
石炭
太古の枯れた植物が変化したもの
動物も植物も、生物の体は炭素を含んでいます。
生物の死骸が何億年もかけて地層に埋もれていく中で地熱やバクテリアの働きで、炭素を多く含む燃料となったのが化石燃料です。
そのため、化石燃料を燃やすとたくさんの二酸化炭素が出るのです。
二酸化炭素を減らすには、化石燃料の使用量を減らすことが必要なわけです。
二酸化炭素(CO2)を出さないエネルギー
現在の人類の技術では、化石燃料を生産することが出来ません。
地球に貯えられたものを使い切ってしまうともう使うことが出来ないのです。
一方、自然の中にある太陽光や風など、繰り返し発生するエネルギーがあります。
これを「再生可能エネルギー」と言います。
再生可能エネルギーを利用して、二酸化炭素を出さずに発電することができます。
日本の電力は二酸化炭素が多い!!
日本は欧州と比べると再生可能エネルギーをあまり活用できていません。
現在、日本では発電する電力は欧州の電力と比べると、二酸化炭素の排出量が約2倍多いと言えます。
例えば欧州だと火力発電は4割程度。
再エネも3割となっています。
欧州は偏西風が1年を通して安定的に吹き、大きな風車で効率よく発電できるため風力発電コストが安く電力全体にしめる割合も多いです。
一方日本は山地が多く、台風などもあり、風車の設置に向かないという事情もあります。
そのため、世界中に偏りなく分布していて、手に入れやすい石炭などの化石燃料がエネルギー供給の多くを占めており、そのほとんどを海外に依存しているのです。
おわりに
地球温暖化を叫ばれてから久しく時間が経ちました。
その間にも気温が上昇し、北極圏の氷が溶けシロクマの生態系に影響しているなどのニュースは、最近よく耳にすることが多くなりました。
身近の環境への影響は、異常気象により私たちも身近に感じている現象です。
季節外れの夏日の連続や、最高気温の更新など我々の環境が、ついこの間と違ってきていることが肌で感じます。
自分ができる範囲で脱炭素には、直ぐにでも取り組んでいかなければと感じます。
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