いまや都心のおしゃれ発信地としても人気の高いエリア・恵比寿の街の生立ちの紹介です。
都心のおしゃれなエリアとして知られる恵比寿ですが、その街の誕生にはヱビスビールが深く関わっています。恵比寿という町名やJR駅名の由来は、サッポロビールの前身である日本麦酒醸造会社がこの地で「恵比寿ビール」を製造していたことにあります。
1988年、工場が移転するまで恵比寿でのビールづくりは約100年間続きました。そして2024年4月3日、「YEBISU BREWERY TOKYO」が発祥の地で35年ぶりに醸造を再開しました。
恵比寿の街の生い立ち
サッポロビールの起源は1876年、札幌に設立された開拓使麦酒醸造場です。これが後のサッポロビールの創業となりました。
札幌に1876年(明治9年)有志による開拓使麦酒醸造所が設立され創業が始まりました。
後にサッポロビールとなります。
その後、日本麦酒醸造会社は現在の目黒区三田(当時:東京府荏原郡目黒村三田)に醸造場を建設しました。
地下貯酒庫に適した高台の地形と堅固な地質な上、ビール造りに欠かせない水が豊富な水量を誇る三田用水が近くにあったことが決め手だったようです。
恵比寿ビールの人気が高まり需要が増えると、隣接する渋谷区恵比寿(当時:豊多摩郡渋谷村)に工場用地を拡大。1889年に恵比寿に本格的な醸造場を設立し、1890年には「恵比寿麦酒」を販売開始しました。
当時の貨幣価値ですと12億円相当するドイツ製の設備を導入し、レンガ造り3階建ての本格的な醸造場をスタートさせました。

そして大量のビールを運ぶ手段として専用の貨物駅「恵比寿停車場」が建設されました。
その後、周辺人口が増加したことから、1906年(明治39年)に旅客営業が開始され、現在の「恵比寿駅」が誕生しました。
1966年には醸造場周辺の地名が「恵比寿」と名付けられました。

恵比寿の街とともに130年
恵比寿でのビール造りは130年以上の歴史があります。
恵比寿の地で生まれた恵比寿ビールは商品名はエビスビールになりましたが、街の名前と駅名はそのまま「恵比寿」として残っています。
ビールの商品名が地名になった例は、世界でも非常に珍しいケースです。
YEBISU BREWERY TOKYO 誕生
2024年、発祥の地で35年ぶりにビールの醸造が再開されました。
恵比寿の地でのビールづくりも1988年に工場の移転に伴い終了しましたが、35年の時を経て新たに恵比寿でのビール造りが再び始まりました。
恵比寿ガーデンプレイス内の旧エビス記念館に新たなブルワリーが誕生し、訪れる人は恵比寿で新たなビール体験が楽しめます。
恵比寿ガーデンプレイス内の旧エビス記念館に新たなブルワリー(醸造所)が誕生しました。

おわりに
恵比寿の街は、ヱビスビールが原点であることをご紹介しました。
ビールの製造が街の発展と密接に関わり、駅名や町名にも影響を与えた歴史は、日本の都市文化の面白さを示しています。


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