東京の恵比寿といえば、おしゃれな街、飲食店が多い街、恵比寿ガーデンプレイスのある街という印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
しかし、恵比寿という街の名前には、ヱビスビールが深く関わっています。
もともと恵比寿には、ヱビスビールを造る醸造場がありました。さらに、ビールを出荷するための貨物駅として「恵比寿停車場」が開設され、それが後の恵比寿駅や地名につながっていきます。
つまり、現在の「恵比寿」という街の名前は、ビールの商品名から広がった珍しい例なのです。
この記事では、恵比寿の街とヱビスビールの関係、恵比寿駅が貨物駅から始まった歴史、そして2024年に誕生した「YEBISU BREWERY TOKYO」について整理します。
恵比寿の由来はヱビスビール
恵比寿という街の名前は、ヱビスビールと深い関係があります。
ヱビスビールは、1890年に発売されたビールです。サッポロビールの前身にあたる日本麦酒醸造会社が、現在の恵比寿ガーデンプレイス周辺でビールを造っていました。
当時、この一帯は現在のような「恵比寿」という地名ではありませんでした。ヱビスビールの製造と出荷が盛んになり、ビールの名前が駅名、そして地名へと広がっていきます。

恵比寿という地名は、もともとあった地名ではなく、ヱビスビールの存在から広がった名前なんですね。
ヱビスビールはどこで生まれたのか
ヱビスビールは、東京・恵比寿の地で誕生しました。
サッポロビールの歴史は、1876年に札幌で設立された開拓使麦酒醸造所にさかのぼります。その後、日本麦酒醸造会社が東京に醸造場を構え、1890年にヱビスビールが発売されました。
当時は、ビールそのものがまだ高級で珍しい飲み物でした。ヱビスビールは、本格的な設備を導入して造られ、品質の高いビールとして知られるようになります。


ビールの需要が増えると、製造だけでなく出荷の仕組みも必要になります。そこで登場したのが、ビールを運ぶための専用駅でした。
恵比寿駅はビール専用の貨物駅から始まった
現在のJR恵比寿駅は、もともとビールを運ぶための貨物駅が出発点でした。
1901年2月、日本鉄道が日本麦酒の要請を受け入れ、ヱビスビールの輸送のためにビール専用の貨物駅「恵比寿停車場」を開設しました。
ヱビスビールを遠くへ運ぶために設けられた駅が、後に人が乗り降りする旅客駅へと発展していきます。


その後、醸造場の周辺に人が増え、1906年10月には現在のJR恵比寿駅が旅客駅として開業しました。
つまり恵比寿駅は、街が先にあって駅名が付いたというより、ヱビスビールの出荷拠点として生まれた駅名が、街の名前へと広がった形です。
商品名が駅名になり、地名になった珍しい街
ヱビスビールの名前は、まず貨物駅の「恵比寿停車場」として使われました。
その後、恵比寿駅の名前として定着し、さらに1928年には周辺の地名にも「恵比寿」の名が使われるようになります。
商品名が駅名となり、さらに地名の由来になった例は、全国的に見てもかなり珍しいものです。
- 1890年:ヱビスビール発売
- 1901年:ビール専用の貨物駅「恵比寿停車場」が開設
- 1906年:現在のJR恵比寿駅が旅客駅として開業
- 1928年:周辺地名に「恵比寿」の名が使われる
- 2024年:YEBISU BREWERY TOKYOが開業し、恵比寿での醸造が復活



恵比寿は、ビールの商品名が駅名になり、さらに街の名前になった珍しいケースなんですね。
なぜヱビスビールは「YEBISU」と書くのか
恵比寿駅のローマ字表記は「EBISU」です。一方で、ヱビスビールのブランド表記は「YEBISU」です。
この違いを不思議に思ったことがある人もいるかもしれません。
サッポロビールによると、江戸末期から明治中期にかけて、日本語の外国人向け表示では「エ」を「YE」と表す例が多くありました。たとえば、江戸を「Yedo」、円を「Yen」と表すような表記です。
ヱビスビールも、明治23年の発売以来、商標のローマ字表記として「YEBISU」を使い続けています。
駅名としては「EBISU」、ビールの商標としては「YEBISU」。この違いも、ヱビスビールの歴史を感じられるポイントです。
恵比寿でのビール造りは約100年続いた
恵比寿の地では、長くビール造りが行われていました。
ヱビスビールは1890年に誕生し、恵比寿の醸造場は街の発展とともに歩んできました。
しかし、1988年に工場の移転に伴って、恵比寿でのビール製造は終了します。およそ100年にわたる恵比寿でのビール造りは、いったん幕を下ろしました。
その跡地を含むエリアは、現在の恵比寿ガーデンプレイスへと変わり、恵比寿を代表するスポットになっています。
YEBISU BREWERY TOKYOで35年ぶりに醸造が復活
2024年4月3日、恵比寿ガーデンプレイス内に「YEBISU BREWERY TOKYO」が開業しました。
YEBISU BREWERY TOKYOは、ヱビスビール発祥の地で、ヱビスの歴史や新しいビールの楽しみ方に触れられる体験施設です。
この施設では、ブルワリーエリアで実際にビール醸造が行われています。1988年の工場移転によって終了していた恵比寿でのビール製造が、約35年ぶりに復活したことになります。


かつてヱビスビールが生まれた場所で、再びビール造りが始まったことは、恵比寿の街の歴史を知るうえでも大きな出来事です。
恵比寿ガーデンプレイスとヱビスビールのつながり
恵比寿ガーデンプレイスは、かつてヱビスビールの工場があった場所として知られています。
現在は商業施設、オフィス、レストラン、美術館などが集まる複合施設ですが、その背景にはヱビスビールの歴史があります。
YEBISU BREWERY TOKYOができたことで、恵比寿ガーデンプレイスは単なる商業施設ではなく、ヱビスビールのルーツを体感できる場所としての意味も強くなりました。
街歩きの途中で立ち寄ると、恵比寿という街がどのように生まれ、どのように発展してきたのかを感じやすくなります。
恵比寿の街はヱビスビールから広がった
恵比寿は、現在ではおしゃれな街として知られています。
しかし、その名前の背景をたどると、ヱビスビールの製造、出荷、駅の誕生、地名への定着という流れがあります。
普段何気なく使っている「恵比寿」という地名には、ビール産業と鉄道、都市の発展が重なった歴史が残っています。
恵比寿駅を利用するときや、恵比寿ガーデンプレイスを訪れるときに、この背景を知っていると、街の見え方が少し変わります。
恵比寿とヱビスビールの歴史まとめ
恵比寿の街の由来には、ヱビスビールが深く関わっています。
1890年にヱビスビールが発売され、その出荷のために1901年にビール専用の貨物駅「恵比寿停車場」が開設されました。その後、1906年に現在のJR恵比寿駅が開業し、1928年には周辺地名にも「恵比寿」の名が使われるようになります。
商品名が駅名となり、さらに地名の由来になったという点で、恵比寿はとても珍しい歴史を持つ街です。
1988年に恵比寿でのビール製造はいったん終了しましたが、2024年4月3日にYEBISU BREWERY TOKYOが開業し、約35年ぶりに恵比寿でのビール造りが復活しました。
恵比寿という街は、ヱビスビールとともに歩んできた街です。街名や駅名の由来を知ると、いつもの恵比寿の景色も少し違って見えてくるのではないでしょうか。
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