10月が近づくと、お店にはかぼちゃやおばけの飾りが並び、「ハロウィン」の季節を感じるようになります。
ハロウィンといえば、仮装した子どもたちが「トリック・オア・トリート!」と言いながら家を訪ね、お菓子をもらう光景が有名です。

でも、どうしてハロウィンではお菓子を配るの?「トリック・オア・トリート」って、そもそもどんな意味なのかな?
現在の「トリック・オア・トリート」の風習は、ヨーロッパで家々を訪ねて食べ物などを受け取っていたソウリング(souling)やガイジング(guising)と呼ばれる風習などが、長い時間をかけて変化したものと考えられています。
つまり、「悪霊にお菓子を渡すため」という一つの理由だけから始まったわけではありません。ハロウィンに関連する複数の文化や習慣が重なり、現在の「仮装して家を訪ね、お菓子をもらう」という楽しみ方へつながっていきました。
この記事で分かること
- ハロウィンでお菓子を配る理由
- 「トリック・オア・トリート」の意味
- ハロウィンの起源と10月31日に行う理由
- ハロウィンで仮装する理由
- かぼちゃを飾るようになった由来
- 日本でハロウィンが広まったきっかけと、原宿・池袋など現在の楽しみ方
ハロウィンでお菓子を配るのはなぜ?
ハロウィンで子どもたちにお菓子を配る風習には、ひとつだけの明確な起源があるわけではありません。
現在の「トリック・オア・トリート」につながったと考えられているものの一つが、中世ヨーロッパのソウリング(souling)と呼ばれる風習です。
ソウリングでは、子どもや貧しい人々などが家々を訪ね、亡くなった人のために祈る代わりに「ソウルケーキ」と呼ばれる食べ物などを受け取っていました。
また、スコットランドやアイルランドなどにはガイジング(guising)という風習もありました。仮装して家々を訪ね、歌や詩、芸などを披露し、その見返りとして食べ物などを受け取るものです。
こうした「家々を訪ねる」「仮装する」「食べ物をもらう」といった複数の習慣が北米へ伝わり、ハロウィンの文化と結びつきながら、現在のトリック・オア・トリートへと発展したと考えられています。
ハロウィンのお菓子は、古くから続く「家を訪ねて食べ物などを受け取る風習」が、現代の子ども向けイベントへ変化したものと考えると分かりやすいでしょう。
「トリック・オア・トリート」の意味とは?


ハロウィンでおなじみの「Trick or Treat!(トリック・オア・トリート)」。
「Trick」は「いたずら」、「Treat」は「ごちそう」「もてなし」といった意味を持つ言葉です。
Trick or Treat!
日本では一般的に「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!」と訳されています。
直訳に近い感覚では、「いたずらか、それともおもてなしか?」と相手に選択を迫るような表現です。
現在では、仮装した子どもたちが玄関先で「トリック・オア・トリート!」と言うと、大人がお菓子を渡すという楽しいやり取りとして定着しています。



「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!」という言葉だけ聞くと少し物騒だけど、今では子どもたちと大人が楽しむハロウィンのお決まりの掛け声なんだね。
お菓子を渡す側は「Happy Halloween!(ハッピー・ハロウィン!)」などと声をかけながら渡すのが一般的です。
トリック・オア・トリートはいつから使われている?
「トリック・オア・トリート」という言葉そのものは、比較的新しい表現です。
カナダ・エドモントン市の公文書館によると、現在確認されている初期の記録の一つとして、1927年にカナダ・アルバータ州ブラック・ダイヤモンド周辺の新聞で「trick or treat」という表現が使われた記録があります。
つまり、ハロウィンそのもののルーツは非常に古いものの、「トリック・オア・トリート」という現在の掛け声は20世紀になってから広がったものです。
その後、北米を中心に子どもたちが仮装して家々を訪ね、お菓子をもらうハロウィンの定番行事として定着していきました。
ハロウィンとは?なぜ10月31日に行うの?
ハロウィン(Halloween)は毎年10月31日に行われます。
その名称は、11月1日の「諸聖人の日(All Saints’ Day/All Hallows’ Day)」の前夜を表す「All Hallows’ Eve」に由来するとされています。
「All Hallows’ Eve」が時代とともに変化し、「Halloween」と呼ばれるようになりました。
ただし、現在のハロウィンはキリスト教の行事だけから生まれたものではありません。
古代ケルトの祭り「サウィン(Samhain)」をはじめとする古い風習と、その後のキリスト教文化などが長い年月の中で重なり合い、現在のハロウィンにつながったと考えられています。
ハロウィンの起源とサウィン祭
ハロウィンのルーツとしてよく挙げられるのが、古代ケルトの人々が行っていたサウィン祭(Samhain)です。
サウィン祭は、夏の終わりと冬の始まりという季節の大きな節目に行われていました。
当時の人々は、この時期には現世と異界との境界が曖昧になり、霊的な存在が現れると考えていたとされています。
火を焚いたり、姿を変えたりする風習もあったとされ、後のハロウィンで見られる焚き火や仮装などとの関連が指摘されています。
その後、ヨーロッパにキリスト教が広がる中で、11月1日の「諸聖人の日」やその前夜の風習などと古くからの習慣が重なっていきました。
ハロウィンの起源については一つの出来事だけで説明できるものではなく、古代ケルトの風習やキリスト教文化などが長い時間をかけて影響し合い、現在の形へ変化していったと考えられています。
ハロウィンで仮装するのはなぜ?
ハロウィンといえば、魔女やおばけ、ゾンビなどの仮装も欠かせません。
仮装のルーツについてもさまざまな説がありますが、古代ケルトのサウィン祭では、霊的な存在から身を守ったり、姿を分からなくしたりするために変装したとする説があります。
「霊に気付かれないように自分たちも姿を変える」という考え方が、ハロウィンの仮装につながったとされています。


そのため、かつては幽霊や悪魔など「怖いもの」に扮する仮装が中心でした。
しかし現代では、魔女やゾンビ、吸血鬼だけでなく、映画やアニメ、漫画、ゲームなどのキャラクターに仮装する人も増えています。
特に日本では、ハロウィンの宗教的・歴史的背景よりも、普段とは違う衣装を身につけて楽しむ季節イベントとして広く親しまれるようになりました。
なぜハロウィンにかぼちゃを飾る?ジャック・オー・ランタンの由来
ハロウィンの象徴といえば、目や鼻、口をくり抜いたオレンジ色のかぼちゃです。
中に明かりを入れたものは、「ジャック・オー・ランタン(Jack-o’-Lantern)」と呼ばれています。


ところが、昔からかぼちゃを使っていたわけではありません。
アイルランドやスコットランドなどでは、もともとカブなどの根菜をくり抜いてランタンを作る風習がありました。
19世紀にアイルランドなどから多くの移民が北米へ渡ると、現地で手に入りやすく、大きくて加工しやすいかぼちゃが使われるようになり、現在のジャック・オー・ランタンへと定着していったとされています。
「ジャック」の名前はどこから来た?
ジャック・オー・ランタンには、アイルランドなどに伝わる「Stingy Jack(けちなジャック)」と呼ばれる民話も結び付いています。
物語にはさまざまなバージョンがありますが、ジャックは悪魔をだましたため、死後に天国にも地獄にも行けず、火を入れたカブのランタンを持って暗闇をさまよい続けることになったと伝えられています。
この民話などが、灯りを入れた野菜のランタンと結びつき、「ジャック・オー・ランタン」という名称が広く知られるようになりました。
日本のハロウィン発祥はどこ?原宿から広まったきっかけ
今では10月になると、街のいたるところでかぼちゃの飾りやハロウィンのお菓子を見かけるようになりました。
では、日本のハロウィンはどこから始まったのでしょうか。
日本で最初にハロウィンを楽しんだ人や、最初に関連商品を販売した店までを特定するのは難しいため、「日本のハロウィン発祥地はここ」と一つの場所に断定することはできません。
しかし、現在のように仮装してハロウィンを楽しむ文化が日本で知られるきっかけの一つとなった場所として、東京・原宿が挙げられます。
1983年に原宿で行われた日本初のハロウィーンパレード
その中心となったのが、東京・原宿のキデイランド原宿店です。
キデイランドの資料によると、まだ日本ではハロウィンがほとんど知られていなかった1980年代、原宿店が販売促進の一環としてハロウィーンパレードを始めました。
1983年に開催されたキデイランドのハロウィーンパレードは、同社が確認する資料では日本で最初のハロウィーンパレードとされています。
現在では仮装して街を歩くハロウィンイベントは珍しくありませんが、40年以上前の日本では、ハロウィンそのものがまだ一般にはなじみの薄い海外文化でした。



日本のハロウィンというとディズニーランドを思い浮かべるけど、その前に原宿でハロウィーンパレードが行われていたんだね。
現在の日本で見られる「仮装してハロウィンを楽しむ」というスタイルの先駆けの一つが、1983年の原宿だったと考えると分かりやすいでしょう。
1997年には東京ディズニーランドでハロウィーンイベントがスタート
原宿でのパレードから14年後、日本でハロウィンがさらに広く知られる大きなきっかけの一つとなったのが東京ディズニーランドです。
東京ディズニーリゾートによると、東京ディズニーランドで初めてハロウィーンイベントが開催されたのは1997年10月31日でした。
現在では長期間開催される秋の定番イベントですが、最初の年は10月31日のわずか1日だけ。当時は日本でハロウィンそのものがまだあまり知られていなかったと、東京ディズニーリゾート公式ブログでも振り返られています。
その後、ハロウィーンイベントは規模を拡大。テーマパークだけでなく、商業施設や菓子メーカー、地域イベントなどでもハロウィンが取り入れられるようになり、全国へ広がっていきました。
原宿のパレードをきっかけに全国へ
こうして振り返ると、日本のハロウィンは海外の風習がそのまま定着したのではなく、日本独自の楽しみ方へ変化してきたことが分かります。
1983年の原宿では仮装して街を歩くパレードが行われ、1997年には東京ディズニーランドがハロウィーンイベントを開催。その後、全国のテーマパークや商業施設、地域イベントへと広がっていきました。
日本でハロウィンが広まった主な流れ
- 1983年:キデイランド原宿店がハロウィーンパレードを開催。同社資料では日本初のハロウィーンパレード
- 1997年:東京ディズニーランドが10月31日に初めてハロウィーンイベントを開催
- 2000年代以降:テーマパーク、商業施設、地域イベントなどへ広がる
- 現在:仮装やお菓子、コスプレなど、それぞれの街や施設に合った楽しみ方へ発展
その意味では、「日本のハロウィンはどこから広まったの?」と聞かれたとき、原宿はその歴史を語るうえで外せない場所の一つといえそうです。
池袋は新たなハロウィンの街へ?コスプレ文化とともに広がる楽しみ方
原宿などをきっかけに日本で広がっていったハロウィンですが、現在は街によって楽しみ方にも違いが生まれています。
その中で、これからさらに存在感を高めそうなのが東京・池袋です。
池袋では、2014年から「池袋ハロウィンコスプレフェス」が開催されています。「マンガ・アニメの聖地としま」を舞台に、コスプレイヤーやカメラマンだけでなく、一般の来場者も参加できる日本最大級のハロウィンコスプレイベントです。
2025年には3日間で16万1,000人が来場しました。海外からの参加者も前年を上回り、特にカメラマンとして日本のコスプレ文化を楽しむ来場者が増えたと主催者から発表されています。



池袋のハロウィンは、ただ仮装して街に集まるだけではなく、何をして楽しむのかが分かりやすいイベントになっているんだね。
池袋ではハロウィンをどう楽しむ?
池袋ハロウィンコスプレフェスの特徴は、参加者が街に集まるだけではなく、さまざまな楽しみ方が用意されていることです。
- 好きなアニメやマンガ、ゲームのキャラクターにコスプレする
- コスプレイヤーを撮影する
- サンシャイン60通りなどを進むコスプレパレードを見る
- 中池袋公園のステージイベントを楽しむ
- 同じ作品が好きな参加者同士で交流する
- 一般来場者として街の雰囲気やイベントを楽しむ
コスプレをしなくても楽しめるため、ハロウィンやアニメに興味がある人がイベントを見るだけでも参加できます。
2026年は3日間開催
2026年の「池袋ハロウィンコスプレフェス」は、10月30日(金)から11月1日(日)までの3日間開催されます。
10月30日にはサンシャインシティを舞台に夕方から楽しむ「池ハロナイト」、10月31日と11月1日には池袋エリアでステージや撮影、交流イベントなどが予定されています。
10月31日には、サンシャイン60通りから東京建物Brillia HALL前までをコスプレイヤーが歩く「池ハロコスプレパレード2026」も予定されています。
さらに、スタンプラリーやフォトスポット、街をきれいにするプロジェクトなども企画されており、ハロウィンをきっかけに池袋の街そのものを楽しむイベントへと広がっています。
渋谷とは違う「目的のあるハロウィン」へ
東京のハロウィンといえば、これまで渋谷駅周辺に仮装した人々が大勢集まる光景が国内外のニュースで取り上げられてきました。
渋谷では「ハロウィンだから渋谷へ行く」という人々が自然に集まり、大規模な街頭のにぎわいへと発展しました。一方で、多くの人が一か所に集中することで、安全対策や迷惑行為への対応が課題となり、行政による対策も行われるようになっています。
一方の池袋は、実行委員会がイベントを主催し、会場や開催時間、パレード、撮影エリア、参加ルールなどを設定しています。
同じ「街を歩くハロウィン」でも、池袋ではコスプレをする、撮影する、パレードを見る、ステージを楽しむといった目的を持って参加できるところに大きな違いがあります。
池袋はもともとアニメやマンガ、コスプレ文化との結び付きが強く、海外から訪れる人も増えています。ハロウィンと日本独自のサブカルチャーが組み合わさることで、今後さらに「ハロウィンを楽しむ街」の一つとして存在感を高めていく可能性もありそうです。
原宿のパレードなどをきっかけに広がった日本のハロウィン文化は、テーマパークや渋谷の街へ広がり、今では池袋でアニメ・コスプレ文化と結び付いた新しい楽しみ方へと変化しています。
池袋はアニメだけではない|家電も集まる新しい文化の街へ
池袋の変化は、アニメやコスプレだけではありません。
池袋駅周辺にはビックカメラをはじめ大手家電量販店が集まり、2026年6月にはヨドバシカメラ マルチメディア池袋も開業しました。かつて「家電の街」といえば秋葉原を思い浮かべる人が多かったなか、池袋でも家電とアニメ・マンガなどのサブカルチャーが同じ街に集まるようになっています。
もちろん、秋葉原から池袋へ文化がそのまま移ったわけではありません。ただ、街の役割や人の集まり方は時代とともに変化します。
原宿などをきっかけに広まった日本のハロウィンが、渋谷では自然発生的な街頭文化へ、池袋ではアニメやコスプレを軸としたイベントへ変化しているのも、その一例といえるでしょう。
家電、アニメ、マンガ、コスプレ、観光、そしてハロウィン。さまざまな目的で訪れる人が交わる池袋だからこそ、今後さらに新しい都市文化が生まれていく可能性があります。
日本のハロウィンと海外のハロウィンは少し違う
ハロウィンという言葉は日本でもすっかり定着しましたが、楽しみ方には海外との違いもあります。
北米では、住宅街で子どもたちが仮装して家々を訪ね、「トリック・オア・トリート」と声をかけてお菓子をもらう光景がハロウィンの代表的な楽しみ方の一つです。
一方、日本では知らない家を子どもたちが一軒ずつ訪ねる習慣はそれほど一般的ではありません。
幼稚園や保育園、学校、地域、商業施設などが主催するイベントでお菓子を受け取ったり、家族や友人同士で仮装や飾り付けを楽しんだりする形が中心です。
また、日本ではアニメや漫画、ゲームなどのキャラクターに扮するコスプレ文化とも結びつき、独自の楽しみ方へ発展しています。
ハロウィンのお菓子には決まりがある?
「トリック・オア・トリート」で渡すお菓子に、特別な決まりはありません。
キャンディーやチョコレート、クッキーなど、子どもが持ち帰りやすい小さなお菓子がよく使われます。
イベントなどで不特定多数の子どもに配る場合は、衛生面や持ち帰りやすさを考え、個包装された市販のお菓子が適しています。
ハロウィンらしいオレンジや黒、紫などのパッケージのお菓子を選べば、渡す側も受け取る側もより季節感を楽しめますね。
まとめ|お菓子・仮装・かぼちゃにもそれぞれ由来がある
ハロウィンで「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらう風習は、単純に「悪霊へお菓子を渡したから始まった」というものではありません。
ヨーロッパにあったソウリングやガイジングなど、家々を訪ねて食べ物を受け取る複数の風習が長い時間をかけて変化し、現在のトリック・オア・トリートへ発展したと考えられています。
「Trick or Treat!」は、日本では「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!」という意味で親しまれています。
さらに、仮装には霊から身を守るという古い考え方、ジャック・オー・ランタンにはカブなどを使ったヨーロッパの風習や民話が関係しています。
日本では1983年のキデイランド原宿店のハロウィーンパレードや、1997年に始まった東京ディズニーランドのハロウィーンイベントなどを経て、現在のような秋の恒例行事として広がっていきました。
さらに現在では、渋谷のように街へ人が自然に集まるハロウィンが生まれる一方、池袋ではアニメやマンガ、コスプレ文化と結び付いた大規模イベントが開催されるなど、日本のハロウィン文化は今も形を変え続けています。
由来を知ってからハロウィンの飾りや仮装、お菓子を見ると、毎年何気なく楽しんでいた10月31日が少し違って見えてくるかもしれませんね。




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